違いを作ろうと、毎回違う見せ方を考えている

ーー一枚で着ることが多い分、試着は大事ですよね。それでは、次のTシャツですが、古着でしょうか?

古川 2011年だったかな…コム デ ギャルソン オム プリュスのもので、Tシャツの下にTシャツを繋げたような面白い形です。ヴィンテージTシャツを再構築したコレクションで、お気に入りの一枚です。ワンピースみたいなので、一枚で着ても存在感があるし、スウェットやニットの下にレイヤードもできる。ライダースジャケットを羽織ればまた違う見え方にもなる。着こなしの幅は広くて自分が試されている感じがあります(笑)。グレーなので気軽にデニムとの合わせもできますが、他にアクの強いアイテムを持ってきても意外と大人っぽくまとまるんですよ。ただ、どこかに「何これ」みたいな個性はしっかり入っていて、今まで出会ったことがないTシャツです。モードでありカジュアルといった空気感に、ギャルソンらしいバランス感覚があると思います。

ーーそれでは、次はツアーTのようなデザインの一枚を紹介してください。

古川 2020春夏シーズンに発表されたラフ・シモンズのTシャツです。もちろんどのTシャツにも思い入れがあるのですが、ちょうどコロナ禍が始まってすぐのものなので、特に手放せない一枚だと思っています。ツアーTのようなデザインの中に、ラフ・シモンズの出身国のベルギーの街で、世界的にも有名なファッションアカデミーがある“アントワープ”の文字が書いてあります。これはほぼ新品のような状態で古着屋で買いました。ちょっと大きめのシルエットで、今回持ってきたTシャツの中では一番大きいかもしれません。夏は短パンに合わせて革靴を履くことが多いですが、ラフ・シモンズは綺麗めなストリートブランドでもあるので、汚いジーパンに合わせても良さそう。ただ、何回も同じパンツと同じTシャツの組み合わせをするにしても靴だけ変えたり、靴まで同じだとしても帽子やアイウェアで違いを作ろうとか、毎回違う見せ方を考えています。

ーーそれでは、次はボーダーのTシャツについて教えてください。

古川 これは2003年頃のナンバーナインのアーカイブで、自分が持っているTシャツの中では一番最近手に入れたものです。ニルヴァーナのカート・コバーンをテーマにしたコレクションの頃のアイテムで、彼と言えばボーダーの印象が強いし、今日の撮影で合わせているデニムも同じ時期のものなんです。全体的にグランジというか、カート・コバーンへのリスペクトスタイル(笑)。ナンバーナインのボーダーは赤黒のものが多かったんですが、最近髪の毛をハイトーンにしたので、青黒のボーダーも潔くて合うなと思っています。僕は洋服から音楽を感じられるものが好きだし、ボーダーでシンプルなんだけど、サイズ感だったりボディの感じだったりナンバーナインらしい空気感が気に入っています。背筋が伸びるというか…カート・コバーンなんで猫背になるというか(笑)、不思議な魅力がありますね。

ーー最後は、ピンク色でユニークなグラフィックのTシャツです。

古川 これは、メンバーの(柴崎)楽と(志村)玲於から誕生日プレゼントにもらいました。タグ的に2000年くらいのものだと思います。ハンバーガー屋さんみたいな絵柄ですが、アンダーカバーにはハンバーガーのキャラクターとかインテリアがあるので、それの先駆けのような感じだと思います。ピンクのTシャツって手が出ししづらいと思うかもしれませんが、僕は結構着ます。これは優しい方じゃないですかね(笑)。もっとビビッドなショッキングピンクとかも持っているので。そういった「ちょっと難しいかな?」と思うアイテムを使っていった方が遊べるし、自分のためにもなると思っています。