s**t kingとして初めてステージに立った瞬間、「これは新しい」と肌で感じた
――プロとしての初めてのお仕事は何でしたか。
kazuki 中学・高校時代から、TRFさん関連で100人のダンサー募集をしていたので、それに参加したり、CMに出させてもらって踊ってギャランティをもらったりしたこともあったんですけど、高校を卒業してからの最初の仕事は、田中ロウマさんというアーティストの専属ダンサーでした。オーディションに合格して、一緒にツアーを回ったり、PVに出たりしていましたね。その後が三浦大知のバックダンサーです。
――その頃にはs**t kingzも結成していたんですか。
kazuki 大知のバックダンサーをやる頃には結成していて、振り付けの仕事も受け始めていました。最初の振り付け仕事はAAAだったんですけど、二十歳になるかならないかの時期だったと思います。s**t kingzでやっていたダンスがすごく新しかったので、それを見た人が声をかけてくれることも多かったです。
――s**t kingzの活動はどのように始まったのでしょうか。
kazuki その当時、ダンスユニットを組んで、一日限りのイベントに出るのが流行っていたんです。僕も幾つかのチームに参加していて、一つのイベントに４つのチームで出たこともありましたし、それが当たり前だったんです。s**t kingzもその中の一つで、YouTubeで見たアメリカで流行っているパフォーマンスを日本でもやりたいということで、僕が3人に声をかけたんです。そのパフォーマンスの評判が良くて、僕自身もステージに立った瞬間、感覚的に「これは新しい」と肌で感じていたから、チームにしようということになって、s**t kingzという名前を付けて活動を始めました。
――一回目のパフォーマンスで意気投合したんですね。
kazuki 僕が声をかけた３人なので、もともと信頼はしていたんですけど、クリエイティブ面でも、ダンスのスキル面でも、他の誰かじゃなくて、この4人じゃなきゃ駄目だなという感覚がありました。
――振り付けは４人で一緒に考えるんですか。
kazuki 基本は個々で作った振り付けを持ち寄って、バランスを見るんですけど、フォーメーションはみんなで考えます。それがs**t kingzの最初の強みだった気がしますね。フォーメーションって日本だとシンプルに作り上げるものが多かったんですけど、アメリカは30人40人で踊るのが当たり前だから、それだけで複雑になるんですよ。どうにか4人でその雰囲気を作りたいという感じで、みんなで考えました。当時は、いろいろ試してみて、自分たちの感覚だけで、正解不正解を見極めていました。
――s**t kingz は2010 年、2011 年とアメリカ最⼤のダンスコンテスト「BODY ROCK」で連続優勝します。手ごたえはありましたか。
kazuki 初めて優勝したときは、踊った直後にスタンディングオベーションをもらえたんです。しかも全チームがもらえていた訳じゃないんですよ。30人40人のチームが30チームぐらい出ている中で4人でポツンと出て行って、しかも外国人だから、「なんだこいつらは」っていう目で見ていたと思うんですけど、パフォーマンスが終わった後にスタンディングオベーションをしてくれたから、認めてもらえたのかなと。そしたら、まさかの優勝で、一緒に戦った他のチームも絶賛してくれたので、世界で戦える自信がついたというか。日本人でもイケるんだという手ごたえを感じました。
――優勝して状況は一変しましたか。
kazuki 優勝する前からじわじわ海外から注目されていましたし、アメリカまでレッスンを受けに行くと、「s**t kingzだ」と言ってくれるダンサーも増えていて、YouTubeの影響ってすげえって思っていたんです。でも世界大会で優勝してからは、ヨーロッパを始め、いろんな国からのオファーが止まらなくなって。海外に行くきっかけをもらったし、日本でも「やっぱs**t kingzだよね」と今まで応援してくれた方が喜んでくれているのも感じました。
――当時、個人で海外進出する日本人ダンサーはいましたけど、チームではどうだったんですか。
kazuki いなかったと思います。ソロバトルで海外に行くダンサーや、ブレイクダンスの世界大会にブレイクダンスチームで行くダンサーはいたんですけど、ダンスコンテストに日本人だけのチームで出演する例はなかったと思います。僕らも最初は出るつもりがなかったんですよ。
――どうしてですか？
kazuki s**t kingzを組むときに、ダンスを楽しみたいから、「チームにするのはいいけどコンテストには絶対出ない」って僕が言い張ったんです。というのも10代のときに散々コンテストに出まくっていたんですが、それに向けてのショーの作り方が嫌で。「盛り上げるためにこれをする」みたいなのって、自分自身が楽しくないんです。３人もそれに賛成だったんですけど。もともとs**t kingzを始めようと思ったきっかけのYouTube動画が「BODY ROCK」で。その大会なら出る意味があるなということで、僕が出ようって言ったらしくて。全く覚えてないんですけどね（笑）。だから「BODY ROCK」以外は一切コンテストに出てないんです。
