初めて組んだバンドみたいにフレッシュな気持ちでツアーを回りたい

――4曲目は先ほどもお話に出た「ギャルになりたい」ですが、ちょっと懐かしいギャルに関連する言葉がたくさん出てきます。

吉澤 令和じゃなく平成のギャルです。自分は全然ギャルじゃなかったので、平成ギャルの言葉などを検索したり、元ギャルの人に聞いたり、教えてもらったりしながら。ギャルの言葉を散りばめました。

――編曲はMomさんです。

吉澤 Momくんには「アコースティックなパラパラソングを作りたい」というオーダーをしました。MomくんがGarageBandで作るワンルーム感というか、独特の味が大好きだったので、この曲をかわいくしてくれるんじゃないかなと。

――5曲目の「夢はアパート」は、「セブンティーン」よりも練り込まれたバンドサウンドです。

吉澤 老後は気の合う友達と同じアパートで暮らしたいみたいな気持ちを歌にしたいなと思って作ったんですけど、「セブンティーン」よりも各々がどういう風に音を重ねていくかを考えながら話し合い、作り込みました。3日間かけてリハーサルをしたんですが、それも初めての経験でした。いつもアレンジャーがいて、譜面に起こしてもらって、デモがあってというふうに作っていたので、みんなで一緒に作るのは楽しかったです。

――合宿のような共同作業だからこそ生まれるものもあったのでしょうか?

吉澤 そうですね。「夢はアパート」はアレンジのイメージが漠然としていたので、正直どんな風にしたいのか分からないというところから始まったんですけど、たくさんのアイディアを持っている方々だったので、これもいいな、あれもいいなというので、結果的にはジャンルがよく分からない感じの曲になって面白かったです。

――ラストの「抱きしめたいの」はアコースティックなサウンドで、このEPの中では毛色が違いますね。

吉澤 久しぶりに自分のために書こうと思って書いた曲で、ライブでは前から歌っていたんですけど、初めて音源化しました。こちらも君島大空さんと「せーの!」で録ったんですが、何度も一緒に演奏してきたので、ライブに近い形になりました。

――君島さんとは過去にも共作をされていますよね。

吉澤 一緒にレコーディングするのは今回が初めてでした。最初は打ち込みでいろいろな音を入れたデモを作ってもらったんですけど、二人で演奏するのに慣れ過ぎちゃって、それが答えなんじゃないかということで、ライブのようなサウンドになりました。

――来年1月には『若草』を引っ提げた全国ツアー「吉澤嘉代子 Live House Tour “若草”」を開催します。

吉澤 久しぶりにリリースイベントも行うので、お客さんと近くで話すのもすごく楽しみなんですけど、ライブハウスも久しぶりで、なおかつツアーもめちゃめちゃ久しぶり。なので、「セブンティーン」のレコーディングで触発されたときのように、同世代のミュージシャンと一緒に全国を回ります。リハはこれからなので、どういう風になるか分からないんですけど、高校生の頃に戻ったような気持ちで、初めて組んだバンドみたいにフレッシュな気持ちで回りたいなと思っています。

――過去にバンド経験はあるんですか。

吉澤 高校生のときに軽音部でバンドを組んでいました。それでオリジナルで曲を書いたときに、コードを付けなきゃと思ってギターを始めたんです。

――昔から歌うのも好きだったんですか。

吉澤 小さい頃から短い変な歌を作って、家族の前で披露してました(笑)。下手でしたけどね。いつも家で歌っていて、「うるさい」って言われていました。

――家族以外の前でも歌うことはあったんですか?

吉澤 いつもは静かなのに、小学生のときに出し物をする行事があって。「歌いたい人がいたらアカペラで歌ってください」みたいな。今思うとハードルが高いんですけど、みんなは何人かでモー娘。の曲を踊ったりする中、私だけ一人で宇多田ヒカルさんの曲をアカペラで歌って。足がガクガクして声が出なくなっちゃって、駄目駄目だったんですけど、そういうのを超えて、歌いたいという気持ちはありました。

――小さい頃は、どういう音楽を聴いていたのでしょうか。

吉澤 父が井上陽水さんを好きだったのもあって、いつもフォークやニューミュージックが流れている家庭でした。その影響で、私も陽水さんや吉田拓郎さん、ユーミンさんなんかを聴いていました。中学生になるとサンボマスターが大好きになって、私も高校生になったら、そんなバンドを組みたいなと思っていたんです。でも声質が合わなくて(笑)。熱く叫んだり、語りかけたりみたいなことはできないなと思ったんですが、バンドへの憧れはずっとありました。

――実際にバンドを組んでみて反応はいかがでしたか。

吉澤 最初はカバー曲をやっていて、メンバーそれぞれが好きな曲をやろうということで、私は「タッチ」や「ひょっこりひょうたん島」を選びました。めちゃめちゃな選曲でしたけど、文化祭で演奏したときの反応は良かったです。