活動の場を日本だけじゃなくて、海外にも広げていきたい

――2年10ヶ月ぶりとなるアルバム『n00b』(ヌーブ)は多彩なビートメーカーを起用していますが、どのように決めていったのでしょうか。

week dudus マネージャーが紹介してくれたビートメーカーもいますけど、ほぼほぼ自分でType Beatを漁って、いいのがあったらそれに乗っけてみて、という感じでした。

――「noob」には“知ったかぶりをする初心者”みたいな侮蔑的な意味合いがありますけど、どんな意味がアルバムタイトルに込められているんですか。

week dudus ヒップホップがすげえ流行って、聴く人がめちゃくちゃ増えて。そしたら聴く側同士がマウントを取ったりしていて、見てられないじゃないですか。ほんまにセンスのいいヒップホップっていうものを教えてあげるっていう意味で、初心者を小馬鹿にした感じで付けました。

――収録順に曲解説をお願いします。

week dudus 1曲目の「ELEGANCE」は上品に盛り上がるっていうか。わちゃわちゃした盛り上がりは飽きたので、新しい盛り上がり方を提示したくて。2曲目の「Yoyu na usagi」は、いつでも余裕やぞってことを見せたくて作りました。なかなかタイトルとテーマが決まらなくて、たまたま着ていた服がプレイボーイやって、このタイトルになりました。前から曲のテーマを決めるときに煮詰まったりしたら、そのときに観てるテレビとかから取ることが多くて。

――3曲目の「Choco Flow」は、「お前の声ってドロドロしてるな」って言われたことから生まれたそうですね。

week dudus 思春期の頃からずば抜けて声が低かったから、いろんな人からいじられ続けて、ちょっとコンプレックスやったときもあったんです。でも言われるたびに、これは武器やなって思って。「チョコみたいやな」って言われることもあったんで、チョコのようにドロっとしたフロウをイメージしました。4曲目の「TOM & JERRY」は、1曲ぐらい遊びで作ろうかって思って。ゼーゼー息を切らしながら必死に何かから逃げる、果てしない追いかけっこをイメージして作りました。

――5曲目の「phonky」は高校時代から親交のあるnessさんをフィーチャリングしています。

week dudus 高1の頃からの付き合いなんですけど、nessが東京に遊びに来たときに、特にすることがないから、「曲を作るか」ってなって、フリースタイルみたいな感じで作りました。お互いにスキルアップしてたので、胸熱でしたね。

――6曲目の「Bind Up」は豊富なキャリアを誇るGOTH-TRADさんがトラックを手掛けています。

week dudus ダブステップの曲を作りたくて、日本でダブステップを作れる人はGOTH-TRADさんしかいないってことで紹介してもらって。まだ会ったことはないんですけど、送られてきたトラックを聴いた瞬間ビビッときて。絶対かっこいい曲に仕上げようと思って、さくっとできました。GOTH-TRADさんみたいに、すごい人と一緒に仕事できるのは今の環境がデカいっすね。7曲目の「BOMA YE」は修行中に、「自分は絶対おかしいぞ」って感じて。普段は気にせんインスタのDMを見たら、「頑張ってください」みたいなメッセージが幾つもあって。“あついヘッズからボンバイエ”ってリリックがありますけど、まさに「ボンバイエ」というDMがポンときて。今までファンの言葉から曲を作るってことがなかったので、これが初です。

――8曲目の「Work Out Work Out」は“お金ごときじゃ俺は悩まない”という一節が強烈でした。

week dudus 自分の周りって音楽で生計立てたい奴ばっかなんですよ。でも現実的に別の仕事をしながらじゃないと、音楽できん奴ばっかで。そういう奴ほど「金、金」って言ってるんで、そうじゃないだろうって。そんなこと言い出したらキリがないし。俺も同じような時期があったけど、「心に余裕さえ作ればなんでもOK」ってことに気付けてない奴に教えたかったというか。同じように悩んでる奴に聴いてほしいです。

――9曲目はREMY FOOLさんをフィーチャリングした「OH SHIT!!」。

week dudus これも弟が東京に遊びに来たときに、遊びで作った曲です。同じ感じで何度も弟と曲は作ってるけど、一番完成度が高くなったっすね。

REMY FOOL フリースタイルの延長みたいな感じでサクサクってできました。

――ラストの曲は「FENDi」。

week dudus このビートが、音楽を知ったときに、自分が魅力を感じた雰囲気そのもので、このアルバムでも自分の中で基盤になってる曲っす。「物は盗んじゃダメやけど、スキルや人のいいところは盗んでもいい」って教えられたことを自分なりに解釈してリリックを書きました。

――どの曲も2分前後ですが、意識的に短くしているんですか。

week dudus そんな気にしてないっすけど、自分が聴くってなったときに、長い曲を何回もループすることがないから、自然とですね。

――最後に来年の抱負をお聞かせください。

week dudus 今、カナダ、モンゴル、モロッコなど、海外のアーティストと一緒に曲を作っていて、それを来年リリースします。活動の場を日本だけじゃなくて、海外にも広げていきたいっすね。

――海外志向は昔からあるんですか?

week dudus さっき話に出たUMBでキレたときに、こんなんばっか日本におるんかってなって。だったら海外の人に聴いてもらったほうが絶対いいなってことで、そっからずっと海外を意識してます。

Information

new album『n00b』
2023年12月8日配信リリース

1. ELEGANCE
2. Yoyu na usagi
3. Choco Flow
4. TOM & JERRY
5. phonky feat. ness
6. Bind Up
7. BOMA YE
8. Work Out Work Out
9. OH SHIT!! feat. REMY FOOL
10. FENDi

week dudus “n00b” release party
日時:2023年12月11日(月)18:30 OPEN/START ※終了予定21:10
場所:恵比寿BATICA (東京都渋谷区恵比寿南3-1-25 ICE CUBE 1F/2F)
出演:
week dudus
ness
REMY FOOL

TIMESLIP B-BOY GO
KAT

※入場無料 (別途ドリンク代が必要となります)
※来場者全員ステッカープレゼント(先着順配布)

「OH SHIT!! feat. REMY FOOL」
https://youtu.be/LZ2dpQBRv94

「Choco Flow」
https://youtu.be/EOSYB3CNVho

week dudus (ウィーク・ドドス)

兵庫県出身の新世代ラッパー。23歳。フリーキーなラップスタイルで異彩を放つ奇才。 2019年から作品の多くは注目を集め次第にネット上で話題に。Red Bull Music主催の「RASEN」に登場し更に人気を増やしていく。同年、応募者数1,400名を超えるABEMA「ラップスタア誕生シーズン4」のファイナルステージに進出。2位という結果ではあったが、同業界、各ラッパーから高い評価を受け、注目を集める。アブストラクトで実験的なトラックを巧みに乗りこなす予測不能なフロウとユニークな言語センスを感じさせるリリックが特徴。2021年にはファンとの約束を果たした50曲入りの1stデジタルアルバム『VEGA』をリリースし、シーンを驚かせるなど予想の枠に収まらないフレッシュなアイディアと独創的なセンスも魅力。収録曲「Skip To Ma Luuuu」は日本中のDJがクラブでこぞってプレイしダンスフロアを席巻。2023年4月、名詞代わりの本名を冠したEP『KAZATO』をリリース。最近では、イギリス発祥の老舗帽子ブランド「KANGOL」のアパレルラインとのコラボレーションを発表、またKANGOL公認の楽曲とMVもリリースし、ファッションシーンからも注目を浴びている。

PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI