趣味の延長線上で作ったアイドル楽曲が仕事へと繋がった

――副業として、アイドル楽曲を手がけるようになった経緯は?

CHEEBOW 本業で繋がっていたWeb系のデザイナーから、頼まれたのがきっかけでした。当時、彼はディアステージのサイトデザインなども手がけていて、僕が作曲できるのも知っていたから「アイドルの曲を書いてみない」と相談されたんですよ。元々、同人イベントで「曲を作って」と頼まれることあったし、その勢いで「いいよ」と返事して。キャストが歌っている映像を見て「ピンと来る子がいたら教えて」と言われ、初めて提供したのが夢眠ねむさんの「魔法少女⭐︎未満」でした。1曲目の評判がよかったので「次もお願い」と頼まれ、副業になっていきました。

――兼業に迷いはなかったのでしょうか?

CHEEBOW 本業の会社は友人と共に立ち上げましたが、仕事には波がありますし、繁忙期以外には著書の執筆、自由な発想でアプリを作るなど、別のことをやっていたんですよ。ですから、音楽もその延長線上といいますか。「会社にギャラは入れた方がいい?」と代表取締役の友人に相談したら「いや、入れなくていいんじゃない」と言われて、兼業するようになりました。

――アイドル楽曲を手がけるようになり、現在は15年目となります。

CHEEBOW 音楽家は20代でデビューするイメージもありますし、僕は40歳からのスタートだったので、遅いスタートでした。ただ、それまでの社会人経験が役立っていると思います。本業のクライアントワークと同じく、依頼を受けてから納品までのスケジュールを逆算できるんです。いつまでに曲や歌詞を準備するか、誰に頼むか、スタジオでレコーディングするかを考えて、制作に取り組んでいます。

――会社役員としての目線も、役立ちそうです。

CHEEBOW プロデュースの立場ではないですが、作った曲で「次のワンマンライブをどう盛り上げるか」「CDが何枚売れればよいか」と、やはり考えてしまいますね。ただ結局は、ファンがどれほど喜んでくれるかを一番に考えています。

――アイドル楽曲への理解は、当初からあったのでしょうか?

CHEEBOW 高校時代にはおニャン子クラブが流行っていて、コンサートに行くほどのファンでしたので、素養はあったと思います。ただ、社会人になってから遠のいていて、本格的に関わりはじめた当初は、関係者から送られてきた48グループの楽曲を参考に勉強しました。

――コールの余地を入れるなど、他ジャンルの楽曲とは異なる工夫も必要な印象です。

CHEEBOW そうですね。関わりはじめた頃、イントロを4小節で作ってしまったときがあったんです。当時のプロデューサーに「8小節にできないか?」と相談されて、理由を聞いたら「8小節でないと、MIX(「タイガー」「ファイヤー」などを連呼するコール)が入らない」と言われて、あとでMIXを調べたら「なるほど」と。そこから研究して、Bメロでは「パンパパンヒュー」を入れる余地を設けたり、サビ前では1小節空けて「イエッタイガー」入れやすくしたりと、展開を工夫するようになりました。

――今なお、研究を重ねていると。

CHEEBOW ライブを見て「ここは振りコピか」「ここはコールになるのか」と、考えながら鑑賞していますね。盛り上がりが生まれるようにと意識しています。でも、僕の楽曲なら「安心」という声があるのもうれしいですし、お披露目の初見でMIXが入って盛り上がる光景を見るのも面白いです。