安本彩花と松尾太陽の超特急カバーに大歓声

ゲストの安本彩花(私立恵比寿中学)が登場すると、サイリウムを持って応援するファンの姿も。毎年恒例の生誕ソロライブをはじめ、自身でもオリジナル楽曲の制作に取り組むなど、ソロとしても精力的に音楽活動を行っており、この日も自身が作詞・曲したオリジナル曲を次々にパフォーマンス。

DJブースが設えられたステージに現れるなり「こんばんは、安本彩花です! 本日はよろしくお願いします!」と大きく手をあげて宣言すると、ロックチューンの「カレーライス」をスタンドマイクで激唱。観客との“カレー!”“うまい!”のコール&レスポンスまで展開しオーディエンスを巻きこんでいく。「小さいころからカレーライスが苦手で、なんでみんなが美味しいって言うカレーを食べられないんだろう?という思いから作った曲。でも、今はスープカレーが好きです」と1曲目の制作秘話を語った。

その後、自らDJブースに立って楽曲をドロップ。「楽しむ準備できてますか?」とスクラッチで客席を煽ると、「恋の感覚」でしっとりと甘い夜の匂いを香らせた。そのままシームレスで今回のライブのために制作された新曲「Dear」へ。大勢のOGが存在するエビ中の一員らしく「違う道を歩んで頑張っている仲間に向けて作った曲」という最新曲を披露した。DJタイムの2曲は影が許可されており、数多のオーディエンスがスマホでの撮影を楽しんだ。

「とってもお世話になっているお兄さんを」と、本日出演する松尾太陽がステージに。タカシ名義で9人組ダンス&ボーカル超特急のボーカルを務める彼と、安本はドラマやバラエティ番組、ライブでの共演歴もあり、何かと交流のある間柄。そして「超特急さんの楽曲でとても好きな曲があるので……」という安本の要望もあり2人で超特急の「a kind of love」を歌唱。「みなさん、手拍子をお願いします!」と松尾が煽ると、客席のペンライトが揺れてる。爽快なサビでは歌詞に合わせて全身で“E!”を作り、曲のハンドサインを掲げて、曲終わりには松尾が私立恵比寿中学の、安本が超特急の決めポーズ。

最後は「スーパーヒーロー」を笑顔で熱唱。「25歳になった今、ファンや支えてくださる方のおかげで、こうして笑顔で歌えているんだと実感したときに作ろうと思った」というリアルな感情に基づく歌には確かな熱があり、周囲にいる人々への感謝のみならず、人と人のつながりの大切さをも感じさせてくれた。「みなさんのおかげで楽しいステージを作ることができました。まだまだ力不足なので、これからも一生懸命歌を作って頑張っていきます」という締めの挨拶に、最後まで大きな歓声が贈られた。

トリを飾ったのは松尾太陽。超特急のボーカリストとして長年活躍しながら、2020年からは本名の松尾太陽名義でソロ活動もしており、この日は一ボーカリストとしての高いパフォーマンス力を見せつけることとなった。全英詞の「Magic」からスタートさせると、会場を一気に松尾太陽ワールドに変えていく。

シティポップ曲「The Brand New Way」で「クラップしてください!」と呼びかけ、オーディエンスの手拍子やギター&ピアノとシンクロさせながら歌っていく。「めちゃくちゃ熱いですね!」と客席の熱気をたたえると「せっかくなので、超特急の曲をもう1曲」と伝えると、一昨年に配信された「クレッシェンド」を披露。高音域の続くメロディックなナンバーを、ファルセットやフェイクを交えて歌い上げ、大きな拍手を浴びた。そして「今日はさまざまな曲を用意してきました」と、ソロでのオリジナル曲を披露。バラードの「体温」では、アコギとキーボードが奏でる温かな音色と呼吸を合わせ、伸びやかな歌声で披露した。

「Hello」ではステージ上の椅子に腰かけ、大きく手を振って肩の力の抜けたラフなムードを醸しつつ、この音楽空間を心から楽しんでいることが伝わってきた。「(ソロの楽曲は)普段あまり表立ってやる機会が多くないので、こうやっていろんな方に聞いてもらえるのはもちろん嬉しい。なにより、みんながクラップしたり、手を振ってくれてる姿を見て“みんな、メッチャええ奴やんか!”ってなりました。こんな温かな場所にいられるのが、メチャクチャ嬉しい気持ちです。また呼んでいただけるように、いろんな感情を共有できるように、『LIVE Meets』ともども頑張っていきます」と感謝の気持ちを伝えた。

ラストソング「起承転々」では、長いブレイクの後、演奏無しで「ものがたりをつづけよう」と心を込めて歌い上げる。松尾の声のみが会場に広がる、その圧倒的なパワーに観客の全てが夢中になったに違いない。

REPORTER:KOZUE NAKAMURA,PHOTO:武石早代