魔女修行は活動の底にあるもの。10周年を迎えてもまだまだ修行は続く | 吉澤嘉代子「子供の頃の1人遊びの魔女修行が曲作りの底にある大切なもの。10周年イヤーも初心に帰って、魔女修行を続けていきたい」INTERVIEW

魔女修行は活動の底にあるもの。10周年を迎えてもまだまだ修行は続く

――『六花』のリリース後には、ホールツアーと10周年ライブが控えていますが、それぞれどんなライブになりそうですか？

吉澤　『六花』のツアーは、『若草』ツアーとは全く違う編成で回りたいっていう気持ちがありました。今回もスペシャルなミュージシャン達と一緒に回れるので、今からすごく楽しみです。しかも、今回はドラムレスなので、1曲ずつアレンジを施して、新たな感じで聴いてもらえるような曲もたくさんあると思います。そして、5月14日は、こっちはもうお祭りだと思っています。10年歌い続けられたのって、本当に奇跡だと思っているので、感謝の気持ちを伝えられたらいいなと思っています。

――もうすぐデビュー10周年を迎える、今の心境はいかがですか？

吉澤　振り返ってみると、環境は色々と変わっていったんですけど、ずっとそばにいてくれる人もいるし、新しく仲間になってくれた人もいるし、何より今すごく楽しくお仕事が出来ているので、とても幸せですし、タイミング的にも、すごくいい状態で10周年を迎えられる気がしています。

――10年間の活動期間の中では、様々な転機もあったと思いますが、一番の転機を挙げるとしたら何でしょうか？

吉澤　いっぱいありますけど、一番最初、10年前に渋谷のduo MUSIC EXCHANGEで開催した初めてのワンマンライブですね。芝居を取り入れたりとか、セットリストを考えたりとか、初めて自分がやりたいことを色々準備して臨んだライブで、『23歳』っていう曲をその日のために作って初披露したんですけど、そこから10年経ったんだなって思うとすごく感慨深いですね。最初の転機というか、その初ワンマンライブのことはすごく記憶に残っています。

――デビューから10年間、ブレずに変わらない部分や自分の中で大切にしてることなどがあれば教えてもらえますか？

吉澤　これはいいことと言うよりも、どちらかと言うと悪いことなんですけど、曲を書く上で、自分をどう納得させるかっていうのが、毎回手こずる部分で、どれだけ「いい曲だね」って言ってもらっても、自分が納得いかないと、どこまででも直しちゃうんですよね。その執着が自分を仕上げて来てくれたとも思うし、一方で、足かせにもなっているなと思っていて、それが自分でも呆れるほどにブレないなって思うところではあります。

――いや、でも、どうでしょう。そこは変わらなくてもいい部分なのではないでしょうか？

吉澤　変わりたくて、ずっと努力してきたんですけど、どうしても自分の心の中に鬼が住んでいて暴れだすというか、その鬼をどう納得させるかっていう…。最近は、もう私は変われないなと思い始めていて、どこまでもそんな自分に付き合うか、みたいな気持ちでいます。でも、それにより、まわりの人達を付き合わせることにはなっちゃうんですけど、変わらないですかね。変わりたいけど、変われない。だから、まわりの人達にすごく助けてもらっていると思っています。

――最後に、10周年イヤーへの意気込みを聞かせてください。

吉澤　10周年記念公演のタイトルを「吉澤嘉代子10周年記念公演～まだまだ魔女修行中。～」にしたんですけど、その心は、初めて世に出た時のアルバムタイトルが『魔女図鑑』で、当時のキャッチコピーが「吉澤嘉代子、ただいま魔女修行中。」というふざけたキャッチコピーだったからです。でも、実は、自分の中ではいつも切実で、子供の頃に1人遊びでやっていた魔女修行っていうものが、今の曲を作って歌うっていうことの底の部分になっていてすごく大切なものなので、初心に帰って、自分を見つめ直す修行を続けていきたいと思っています。

PHOTOGRAPHER：TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER：ATSUSHI OINUMA