髙木雄也さんはフレンドリーで稽古もしやすい
――前々から二人舞台に挑戦してみたかったそうですね。
清水くるみ(以下、清水) いつかやってみたいとは思っていたんですが、20代の最後にお話をいただいて、意外と早かったなという驚きがありました。『東京輪舞』と同じく『輪舞』が原作で、20世紀末の英国に翻案した『ブルールーム』の日本初演が2001年で、そのときに出演した内野聖陽さんと秋山菜津子さんが当時三十代半ばぐらいでした。私もそのぐらいの年齢でやるものかなと思っていたんですが、こんなに早く機会をいただけてプレッシャーもあります。
――今お話に出た『輪舞』はオーストリアの劇作家アルトゥル・シュニッツラーが1900年に発行した作品で、男女の情事前後の会話がリレー形式で描かれていますが、今回の『東京輪舞』は舞台を東京の現代に翻案しています。
清水 初めて台本を読んだときは、設定や構成がすごく面白いなと思って。様々なキャラクターが出てきますし、それをどう演じ分けるかが悩みどころでした。本読みのときに、キャラクターごとに声を変えて演じてみたら、演出の杉原邦生さんに、「声よりも役のテンションを大事にして、ちゃんとその人の感情を理解してやってみて」と言われて。テクニックだけでやろうとしていたのを見透かされていました。杉原さんの言う通りで、もっと台本を読み込まなきゃと気が引き締まりました。
――会話劇ですが、セリフの印象はいかがでしたか。
清水 頭の良い会話だなと思いました。会話の中に作家が出てきますが、脚本の山本卓卓(すぐる)さんが、「物書きの人は実際にこういう会話をするんだ」みたいなことを仰っていて、面白いなと。こういう会話ができる人になりたいと思いました。
――性的な会話も多いですが、どこか上品ですよね。
清水 “トウキョウのリアルとエロスを交差させた”と謳っているので、お客様はドキドキしながら観に来ると思いますが、性の部分に関しては、第一景から構えることなく観られるはずです。私たちも恥ずかしいと考えている余裕もないぐらい必死に演じているので、気軽な気持ちで観に来て欲しいです。
――タイプの違う登場人物を6役演じますが、特に理解できるキャラクターはいますか?
清水 それぞれに理解はあるんですけど、最初に出てくる少女が私の一番得意とする役かもしれないです。でも、ほんのちょっとしか出てこないので、もうちょっとやりたい思いもありました。
――髙木雄也さんの印象はいかがですか。
清水 世代的にドラマ『ごくせん』のイメージが強いので、怖い感じなのかなと思っていたらすごくフレンドリーな方で。めちゃくちゃ話しかけてくださるので、稽古もしやすいです。