『刀剣乱舞』の成功体験があったからこそ、今も役者を続けられている
――お芝居に興味を持ったのは、いつ頃でしょうか。
石川 初めてお芝居をやらせていただいたのはスクランブルガム時代で、当時は7人組だったんですが、一人ずつあてがきで台本を書いていただいたんです。そのときは役作りも分からなかったので、ひたすらセリフを覚えて、言うだけみたいな。そういう機会が何度かあったんですが、特にダメ出しもなく、何となくお芝居をしていたんですよね。そんな中、2.5次元舞台の存在を知って、舞台で歌やダンスもやってもいいんだというところに興味を持って、かっこいい世界だなと思ったんです。
――スクランブルガム卒業後は、『刀剣乱舞』、『炎炎ノ消防隊』、『マッシュル-MASHLE-』などに出演していますが、2.5次元舞台で役を演じる醍醐味はどういうところに感じますか。
石川 もともと観ている側だったときに、マンガやアニメのキャラクターが現実の世界に飛び出してきて、オリジナル作品では見られなかったような動きやセリフを生で見られることの感動が強くて。その感動は演じる側になっても変わらないですね。
――役作りをする上で、原作ファンの意見などは気になりますか?
石川 気にならないと言ったらウソになりますが、あまり考え過ぎると潰れちゃうので(笑)。もちろん原作ファンの方々にも納得していただきたい気持ちはあるんですが、そもそも舞台化に対して不安を抱く気持ちも分かるんです。そういう意見をないがしろにはできませんが、あまり意識し過ぎることなく、かつイメージを損なわないようにバランスを保ちながら演じるようにしています。
――最後に俳優としてターニングポイントになった作品を挙げていただけますか。
石川 役者として活動するにあたって、最初に出させていただいた「ミュージカル『刀剣乱舞』~江水散花雪~」(2022)と、「Stray Cityシリーズ『Club キャッテリア』」(2023)は自分の中で大きいです。
――それぞれ理由を教えてください。
石川 『刀剣乱舞』は、自分の中で役者のイメージを180度変えられた作品です。2.5次元舞台って楽しくてキラキラしている世界だと思っていたんですが、観るのと演じるのとでは全く違っていて。一皮剥けなきゃいけない瞬間って誰しもあると思うんですが、このときは無理やり五皮も六皮も引っぺがされた印象で(笑)。ダメージがすごくて、闇の底に突き落とされるぐらいの絶望感を味わったんです。ただ、それは闇の底ではなく、その先にあるものの通過点というか、役者としてやっていくために通らなければいけないトンネルだったんですよね。そのトンネルを抜けるまでは、「どうしてこんな世界に来ちゃったんだろう。来年の今頃も続けられているのだろうか」と不安だったんですが、舞台を終えたときの充実感がすごくて。そのときの成功体験があったからこそ、今も役者を続けられているんです。
――『Club キャッテリア』はいかがでしょうか。
石川 「ミュージカル『刀剣乱舞』~江水散花雪~」に出演してから約一年後の舞台で、その間、たくさんの舞台に出演させていただいて、徐々に自信もついていったんです。ところが『Club キャッテリア』で共演させていただいた役者さんのお芝居を間近で見ていると、みなさん僕以上のものを持っているように感じる瞬間がたくさんあったんです。それでも自分にしかできないことがあるはずだと根拠なき自信みたいなものを燃やして、体当たりで臨んだら、いろいろ解放された感覚があって。自分との戦いに勝てたなという実感がありました。
Information
「ゴーストヤンキー」
毎週木曜、MBS 24時59分~/テレビ神奈川 23時30分~で放送中!
MBS放送後に、TVer、MBS動画イズムで見逃し配信1週間あり
チバテレ、とちテレ、テレ玉、群馬テレビ他で順次放送
柏木 悠(超特急)
石川凌雅 福澤 侑 小坂涼太郎 寺坂頼我
阿久根温世(ICEx) 早乙女友貴
高橋怜也
高野 洸
和田聰宏
監督:永江二朗 しばざきひろき
脚本:我人祥太
音楽:三善雅己
制作会社:株式会社キャンター
製作:「ゴーストヤンキー」製作委員会・MBS
オープニング主題歌:T.C.R.横浜銀蝿R.S.「昭和魂」(Bellwood Records)
エンディング主題歌:わんぱく団(石川凌雅・福澤 侑・小坂涼太郎・寺坂頼我)「One Night Party」(KING RECORDS)
大きな怪我で陸上選手生命が途絶えた高校3年生、風町トゲル(柏木悠)。喪失感と疎外感に苛まれ、吸い寄せられるように走行中の車の前へ飛び出し――気がつくと、“幽霊”になっていた!?混乱してその場を逃げ出したトゲルが出会ったのは、時代錯誤も甚だしい昭和のヤンキー『わんぱく団』の面々、吾郎(福澤侑)・順平(小坂涼太郎)・チッタ(寺坂頼我)だった。彼らは、約40年前に死んでから未だに成仏していないというが、それには理由があるようで……。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI