追い込まれるほど、自分を発揮できる
――「ゴーストヤンキー」の企画を聞いたときはどんなイメージを抱きましたか。
福澤 侑(以下、福澤) 最初はヤンキーとゴーストという組み合わせの想像がつかなくて、監督の方々から、あらすじを聞いたり、こういう感じで撮りたいみたいなお話を聞いてから、そういうことかと。もともと映画『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズを始め、ヤンキー作品が好きだったので、すごく楽しみでした。初めて脚本を読んだときは、昭和と現代を混ぜ合わせた見たことのない世界観だけど、起承転結がしっかりしていて、あっという間に読み終えました。
――福澤さんが演じるのは、昭和のヤンキー「わんぱく団」のメンバー・吾郎ですが、どんなキャラクターでしょうか。
福澤 熱くて、仲間思いで、ケンカも強くて、兄貴みたいな存在。それでいてツッコミとボケどちらもできるんです。僕自身はインドアなので、行動的な吾郎を演じるのは楽しかったです。
――ご自身との共通点はありましたか?
福澤 思ったことを直接言うところは同じなんですが、吾郎の場合はドストレートなので、ちょっとタイプは違いますね。
――現場の雰囲気はいかがでしたか。
福澤 和気あいあいとしていました。共演したことがある方と、初共演の方と、ちょうど半々ぐらいだったので、和やかな中にも新鮮さがあって楽しかったです。ドラマの現場は士気の上がり方が舞台と違っていて、本番以外でも一緒に過ごす時間が長いので、心を開くのも早かったです。
――本作がドラマ単独初主演となる柏木 悠さんの印象はいかがでしたか。
福澤 年相応の元気さがありつつ、考え方や立ち居振る舞いが大人っぽくて、悠のおかげで現場も和みました。僕が悠の年齢だった頃は、もっとアホだったのになと(笑)。超特急でいろんな経験を積んでいるから若いのに懐が深いんでしょうね。
――福澤さんもグループ経験があって、2021年からは音楽パフォーマンスユニット「ZIPANG OPERA」のメンバーとしても活動していますが、グループで活動すると成長も早いものですか?
福澤 一緒に過ごす時間が多い中、お互いの意見を言い合って、たくさんのコミュニケーションを取っていくうちに、相手がどんなことを望んで、何を考えているのかを理解しながらアクションを取っていく。グループはタイプが違う人と人とのぶつかり合いですから、自然と成長しますよね。
――監督陣の演出はいかがでしたか。
福澤 僕は、その場で考えるのが大好きなので、思いついたことを監督に相談したら「いいじゃん!」と受け入れてくださったので、すごくやりやすかったです。
――主人公・風町トゲルは、ケガで陸上選手生命が途絶えて喪失感と疎外感に苛まれますが、福澤さん自身、そういう経験はありましたか?
福澤 誰しも挫折がありますし、僕もトゲルのようにネガティブになったことは何度もあります。でも僕の場合、負の感情が力の源になるので、そういう状況に追い込まれるほど、自分を発揮できるんですよね。個人的には気持ちがグーンと下がるようなバッドエンドの映画を観るのも好きで、それが俳優としてもクリエイティブの仕事にも活きる部分もあります。