『町田くんの世界』の現場でどっぷりと映画に浸かることができた
――オフはどう過ごすことが多いですか。
細田 基本インドアなので、あんまり外に出ることはなく、家でゲームをしたり、ドラマや映画を観たり。4月から『ZIP!』で「細田佳央太のCINEMA ACADEMY」という週1回おすすめの新作映画を紹介するコーナーを持たせていただいているので、そのために映画を観ることも増えました。
――お芝居以外の面にも注目して映画について考えるようになったきっかけはあったんですか。
細田 『町田くんの世界』の現場からです。そこで映画とはどういうものか、どういうふうに作られているかを教えていただいたんですよね。ロケハンなど普通なら俳優部が関係しないところまで、僕と共演の関水渚さんに見せてくださって、映画にどっぷり浸かることができました。
――それは自分たちから見せてほしいと提案したんですか。
細田 監督とプロデューサーさんの特別な計らいでした。おそらく経験の浅い僕たちのために、「これだけ多くの人が関わっているんだから頑張れよ」というメッセージだったと思います。
――最近観た新作映画で印象に残っている作品は何ですか。
細田 堤幸彦監督の『SINGULA』です。1人の役者さんがAI15体15役を演じ分けていて、AIが人間との共存を望むか、人間の殲滅を望むかディベートをする作品で面白かったです。
――新作映画の紹介コーナーを始めて、映画の見方も変わりましたか?
細田 『ZIP!』で紹介する作品に関しては、皆さんに観てもらうためのプレゼンみたいなところが根本にあります。どう伝えたら楽しんでもらえるか、観たいと思ってもらえるかを、自分が感じた感性と組み合わせながら喋ってくというところなので、シンプルに映画を楽しむとはまた違いますね。
――配信ドラマも観ますか?
細田 よく観ますね。配信ドラマに関しては海外作品を観ることが多いです。最近だとディズニープラス「スター」で配信している『一流シェフのファミリーレストラン』が良かったです。一流レストランで働いていたシェフが、お兄ちゃんの死をきっかけに、シカゴのサンドイッチ店を引き継いで経営を立て直すお話です。
――配信ドラマならではの良さはどういうところに感じますか。
細田 『七夕の国』もそうですが、地上波だといろいろな規制がかかってできない表現も配信だと可能になるところです。またディズニープラスは全世界配信なので、海外の方々が観る割合も高くなります。その国の環境や常識によって見方も変わると思うので、海外の反応も知ることができるのは配信ドラマならではの良さですね。
――『七夕の国』は残酷なシーンもありますが、そういう作品は観るほうですか?
細田 あんまりスプラッターやホラーは得意じゃないんですよね。友達に連れられて『ミスミソウ』(2018)や『ミッドサマー』(2019)を映画館で観たのですが、半ば無理やりだったので、ヤバいシーンになると耳を塞いで目を瞑っていました(笑)。今回の『七夕の国』も目を背けたくなるようなシーンはありますが、次の展開が分かっているので、血が出ているときは目を細めながら観ていました。ただ、この作品はミステリーが核になっているので、僕のようにホラーが苦手な方でも、球体が出てきたときに心の準備をしてもらえれば大丈夫なはずです(笑)。
Information
『七夕の国』
ディズニープラス「スター」で2024年7月4日(木)より独占配信
細田佳央太 藤野涼子 上杉柊平 木竜麻生 鳴海唯 濱田龍臣 西畑澪花 深水元基 石田法嗣 朝比奈彩 伊武雅刀 三上博史 山田孝之
原作:岩明均「七夕の国」(小学館刊)
監督:瀧悠輔 佐野隆英 川井隼人
脚本:三好晶子 安里麻里 瀧悠輔
脚本協力:大江崇允
プロデューサー:山本晃久 若林雄介/中野剛 髙橋直也
Ⓒ2024 岩明均/小学館/東映
日常を突然おそった怪事件。真相の解明に、物に触れず小さな穴をあけるという訳に立たない“超能力”をもつ大学生・南丸洋二(ナン丸/細田佳央太)が巻き込まれる。仲間と共に事件のカギとなる閉鎖的なある町を訪れたナン丸は、彼の超能力がこの町の“丸神家”という一族だけに受け継がれるものだと知る。そしてそれは、怪事件を起こした“球体”を操る力だった……。「事件と同じ力が、なぜ俺に?」。さらにナン丸たちは、町の不気味な謎に気づきはじめる。6月に行われる、季節はずれの七夕祭り。何かに囚われているような、町民だけが見る悪夢。ナン丸も血を引く、丸神一族の掟。そして、その謎の背後には球体の力で次々と人をエグり消し去る“丸神頼之(山田孝之)”と呼ばれる男の影が……。「悪夢を、終わらせる」そう呟く丸神頼之の目的とは?町民たちが隠しているものとは?球体の力はなぜ、何のために、ナン丸たちに与えられたのか?すべての謎は複雑に絡み合い、やがて、ある衝撃的な一つの答えにつながっていく——。
PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI