ターニングポイントになった舞台『ヒプステ』
――キャリアについてお伺いします。今の仕事に繋がることで、学生時代に熱中していたことはありますか
廣野 小学6年生の終わりぐらいからギターばかり弾いていました。定期的に弾かなくなる期間もあったので、トータルだとそこまでギター歴は長くないですし、そんなに上手くもないんですが、ずっと学生時代は弾いていました。
――なぜギターを始めたのでしょうか。
廣野 最初は“モテたい”が大きかったです(笑)。ただ先輩に誘われて、中学3年生の終わりぐらいからバンドでライブハウスのステージに立つようになってからは、「音楽をやりたい!」という気持ちが強くなって、高校3年生のときに上京しました。
――お芝居を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
廣野 最初に所属した事務所で、「音楽をやりたい」と言ったら、「どんなに良い曲を出したとしても、ポッと出じゃ売れないから、こういう道もあるけどどう?」と言われて。そのときに勧められた舞台のオーディションを受けたら合格して、そこから役者を始めました。
――お芝居の経験がないのに、いきなり受かるのもすごいですね。もともと俳優に興味はあったんですか。
廣野 全くなかったです。ドラマや映画は人並みに観ていましたが、舞台は観たことすらなかったです。テレビもバラエティのほうが好きで、みなさん楽しそうに仕事をしているなと。それに比べたら、役者はセリフを覚えなきゃいけないから大変だみたいなことを漠然とイメージしていました。ところが初めて舞台に出させてもらったときに、「こんなすごいことをしている役者ってすごい!」と思って。そこから徐々に役者に対するリスペクトが強くなっていきました。
――ターニングポイントになった作品を教えてください。
廣野 それこそ、まっきーさん(荒牧慶彦)とも共演した『ヒプステ』(『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage)です。それまで感性だけで役者を続けてきたところがあったんですが、まっきーさんを始め、すごい方々とお芝居を通して戦う中で、技術の大切さを痛感したんです。そういうことを意識しながら芝居と向き合うようになって、自分にも実力がついてきたなと自覚できたのは、昨年の舞台『鋼の錬金術師』からだったので、つい最近のことです。
――『ヒプステ』に出る前からラップ経験はあったんですか。
廣野 いろんなジャンルの音楽が好きなので、高校生のときに友達とふざけて階段でサイファーをしたことはありましたが、本格的にやったのは『ヒプステ』が初めてです。
――『ヒプステ』に出たときは、まだコロナ禍が収束する前でしたよね。
廣野 そうですね。コロナ禍真っ只中のときは、一気に仕事もなくなったので、役者を辞めようと思ったんです。ただ『ヒプステ』の出演が決まって、それをきっかけに評価されることが増えたんです。正直、コロナ禍で役者を辞めていく友達も多かったです。芸能の世界はキラキラして見えるけど綺麗事じゃないですし、みんなが稼げるような仕事じゃない。だからこそ、仕事が来たときは全力でやるし、それが生き残った者の使命だなと思います。『ヒプステ』が芝居に対して改めて向き合うきっかけになりましたね。
Information
Stray City シリーズ「Club ドーシャ」
【東京公演】
日時:2024年8月1日(木)〜8月12日(月・祝)
場所:IMM THEATER
【大阪公演】
日時:2024年8月15日(木)〜8月18日(日)
場所:サンケイホールブリーゼ
田中涼星 廣野凌大
石川凌雅 福澤 侑 泰江和明 持田悠生
立花裕大 荒牧慶彦
脚本:かが屋
脚本・演出:末原拓馬(おぼんろ)
企画・プロデュース:荒牧慶彦
音楽:廣野凌大
振付:福澤 侑
PHOTOGRAPHER:YASUKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:北崎実莉 櫛引桃奈,STYLIST:柴田拡美