初めて受けたオーディションで合格して映画デビュー
――キャリアについてお伺いします。先ほどもお話しにありましたが、西山さんは子役としてキャリアをスタートさせますが、どういうきっかけがあったんですか。
西山 もともとはスカウトです。小学1年生のときに、家族で食事をしていたら、事務所の方に声をかけていただいて、そのときは姉がスカウトされたんです。後日、ついでに僕も面接に行ったら、僕だけ合格して……。
――それまで芸能界やお芝居に興味はあったんですか?
西山 正直、興味の“興”の字もなかったです。芸能界のことなんて何も分かっていないから、言われるがまま。お母さんも「あなたがやりたいと思うならやってみれば」ぐらいの温度感だったので、習い事みたいな感覚でした。
――演技レッスンに参加するのはいかがでしたか。
西山 最初は本当に行くのが嫌でした。周りも同世代の子たちばかりでしたが、みんなやる気満々で。そんな中に僕だけサラッと入っちゃったから、浮いているんですよ。そんな自分が、まさかこんな風にお芝居について語る日が来るとは思わなかったです。
――初めて受けたオーディションは何ですか?
西山 僕のデビュー作となる堤幸彦監督の映画『サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜』(06)でした。初オーディションで、まさかの合格。主人公の市川由衣さんにくっついている無表情の男の子で、本当は幽霊だったという役でセリフもなかったので、お芝居もいらなかったんですよ。ただイメージシーンで笑わなきゃいけなかったんですが、お芝居するのが恥ずかしくて笑えないんです。それで助監督さんにこちょこちょされて、笑った記憶があります。その後、すぐに同じ堤幸彦監督の『20世紀少年』三部作(07~08)に出演させていただいたんですが、そのときも習い事の延長線上でした。気持ちが変わったのは中学生になってからです。
――大人たちに囲まれる環境はいかがでしたか。
西山 そこは大丈夫でした。人間形成の途中でそういう環境になったので、それが普通ぐらいの感覚というか。むしろ大人ばかりのほうが、安心感がありました。
――どうして中学生で気持ちに変化が生じたのでしょうか。
西山 将来についての取捨選択を考えたときに、俳優が残ったんですよね。僕は小学生から野球を始めて、中学では野球部に入って、お芝居、野球と二つのことに打ち込んでいたんです。そんな中、自分はお芝居ができてきないことに気づき始めるんです。でも僕は「辞めたい」じゃなくて、「上手くなりたい」と思ったんです。そのきっかけとなったのが中学1年生のときに観た『カイジ』の実写映画シリーズでした。主演の藤原竜也さんの熱量に持っていかれて、こういう俳優さんになりたいと思ったんです。お芝居が上手くなりたいと思っていたのが、いつの間にか役者としてやっていきたいに変化しました。