永瀬正敏さんから27年前の『箱男』について聞いて、大切なバトンをいただくことができた | 白本彩奈 「映画『箱男』で“脱ぐ”ということにどんな意味があるのかを自分の中で十分に考えていた」 INTERVIEW

永瀬正敏さんから27年前の『箱男』について聞いて、大切なバトンをいただくことができた

――メインキャストの方々の印象をお聞かせください。主演の永瀬さんについて。

白本　永瀬さんは共演シーンが多かったので、お話する機会も多くて、すごく柔らかい印象の方でした。永瀬さんは27年前の『箱男』にも出演が決まっていたので、そのときのお話もたくさん聞かせていただいて。27年前だと私は生まれてもいなかったので、永瀬さんのお話を聞いた上で現場に挑むことができたのは、一つ持ち玉が増えたような感覚で、大切なバトンをいただくことができました。

――浅野さんはいかがでしたか。

白本　浅野さんはフィットネスに通われていたり、食事制限をされていたりとボディーメイクの経験が豊富なので、「こんなものだったら食べてもいいんじゃないか」と食事のアドバイスをいただきました。あと、浅野さんも私も絵を描くのが好きなので、絵を描くコツや、どういうツールを使っているかなどを教えていただきました。あまり映画に関する話はしていなかったかもしれません（笑）。

――佐藤さんは共演シーンが少なかったですが、コミュニケーションを取る時間はありましたか。

白本　ご一緒する時間は短かったんですが、お芝居を緻密に考えられる方で、「ここはこうやって、こうしてみよう」と細かく話し合いをさせていただきましたし、他愛もない話もしてくださいました。

――あまり委縮せずに現場にいることができたんですね。

白本　もともと緊張するタイプの人間ではないんですが、ドンとそこにいる葉子を表現したかったので、萎縮してしまうのは一番避けたいことでした。葉子に迷いがあってはいけないですから。そのために時間をかけて関係性を探っていったところもあります。

――お仕事について、今後の展望をお聞かせください。

白本　『箱男』で描かれているように、本物と偽物って何が物差しか分からないですし、それはお芝居の上手い下手にも繋がることだと思います。なので何をもってお芝居が上手いかどうかは、ずっと私には分からないことだと思うんですが、自分の中の引き出しは増やしていきたいです。『箱男』の現場で学んだことはたくさんあるんですが、永瀬さん、浅野さん、佐藤さんに共通しているのは常に周りにアンテナを張られているなということで。アンテナの張り方はそれぞれなんですが、みなさんキャリアが豊富なのに、貪欲に新しいものを吸収しているんです。まだまだ私には自分の中にある材料が足りていないので、そういうことをかき集める日々を過ごして、細かいところまで気を配れる女優になりたいです。

――永瀬さん、浅野さんは海外の映画に出演していますし、石井監督も海外の映画祭で高い評価を得ています。白本さんは、海外志向はありますか。

白本　海外進出は私の中で一番大きな目標です。『箱男』がベルリン国際映画祭でプレミア上映されたときも行く気満々で、英語のレッスンを受けていたんですが、行くことができず悔しかったです（笑）。

――もともと英語は話せたんですか。

白本　日常会話程度なら話せるんですが、取材などでも英語で対応できるぐらいには話せるようになりたくて。もっと英語力を磨いて、海外の作品に挑戦したいですね。葉子をハーフである私が演じることで、役に含みが生まれたというか、何かしらの意味を持たせられたのかなと思っています。今後もいろんな作品に出演して、私だからこそ与えられる意味を追求していきたいです。

PHOTOGRAPHER：YU TOMONO,INTERVIEWER：TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE：馬場麻子,STYLIST：小笠原吉恵