新作ではデビュー前からの友人RHYMESTERと共演

――先日、ソロとして10作目となるオリジナルアルバムをリリースされましたが、前作から4年も経っていたんですね。

GAKU サボっていたつもりはまったくないんですけど、やっぱり期間が空いてしまった大きな理由のひとつとしてコロナがありました。本当に多くの人が同じように感じたと思いますけど、必要とされていないような不安感もありましたし、特に僕らはライブができなくても世の中は回っていたわけですからね。あの期間はそういう自問自答の連続で、ある種悶々とした時間を過ごしていました。でも、少しずつですけど、緊急事態宣言が明けました。オンラインライブが始まりました。書き込まれたコメントを読みます。みんなが苦労しながらも待っていてくれたことが分かり始めます。そして、人数を制限してマスクをして有観客ライブが始まりました。制限がなくなりました…。そういったグラデーションを経て、お互いに何とか生き残って会えて良かったねという、ファンの方との絆を感じたりもした時間でした。でも、4年空いてしまいましたけど、気付けば25周年というこのタイミングとも重なって、友人達のおかげでアルバムを作り上げることができました。

――アルバムのタイトル「Master of Ceremonies」にも思いが込もっていると感じましたが、いかがでしょうか?

GAKU タイトルを決めたのは、最後の最後だったんですけど、実は、僕が思っているよりもMCの意味を知らない方が多いんだなと思いまして…。MCは、“master of ceremony”の略で、ラッパーのことなんですけど、改めてちゃんと言っておくべきかなと思い、このタイトルにしました。

――では、収録曲のことも聞かせてください。まずは、1曲目の「Under the same sky」について。

GAKU 最初は極めて個人的な思いで、近い人の顔を浮かべながら作って、その人に届けばいいなという思いで書いた曲なんですけど、MUSIC VIDEOを作って、それを第三者的に見た時にとても普遍的に聞こえてきたんですよね。きな臭いこの世の中で、色々な人種の人が世界各地にいる中で、でも同じ空の下で僕らはみんな生きています…という感じの曲だと思えるようになったんですけど、それはMUSIC VIDEOの力だなと思っています。

――そして、2曲目の「フライヤー feat. RHYMESTER」。こちらは音楽ファンにはたまらないと思うんですが、是非、RHYMESTERとの出会いや関係性、そのあたりから聞かせてください。

GAKU 実は、RHYMESTERはラップを始めた頃からの友人です。僕の前進グループのEAST ENDとRHYMESTERとMELLOW YELLOWという3つのグループがいて、後にRIP SLYMEやKICK THE CAN CREWも入ってくるんですけど、“FUNKY GRAMMAR”という運命共同体みたいなラップグループの集まりがあって、デビュー前からの仲間でした。今回のアルバムについて色々考えているうちに、RHYMESTERが参加してくれたらいいなと思ってお願いして実現したんですけど、最近気付いたことがありまして…。グループの時には、ラッパーをフィーチャリングした曲はたくさんありましたけど、ソロになってから日本人のラッパーをフィーチャリングした曲を25年やっていなかったんです。最初の頃のソロアルバムに、フィーチャリングという表記はせずに、RIP SLYMEのSUくんが歌ってくれた曲はありましたけど、ちゃんと“フィーチャリング誰々”って曲は実は初めてで、最近気付いて自分でもビックリしました。

――RHYMESTERとのレコーディングはいかがでしたか?

GAKU (しみじみとした感じで)楽しい時間でしたね。改めて、僕は恵まれているなと思いました。桜井(Mr.Children)もそうですけど、尊敬する同い年ぐらいのミュージシャン友達がいて、そいつらが自分よりもバリバリがんばっていて。お互いに影響を与え合えていると感じましたし、先輩ミュージシャンでも後輩ミュージシャンでもこうはならないなというか、同級生だからこそ共有できるような素敵な時間でした。

――そして、GAKUさんならではだなと感じた曲が9曲目の「人生にキャンピングカーを」です。この曲についてはいかがでしょうか?

GAKU 気が付けば、もう何年にもわたって自分のツアーをキャンピングカーで回っています。飛行機や新幹線の便利さや快適さももちろん知っていますけど、地続きで行く旅のダイナミックさが音楽とも合うと思っていますし、素敵な景色を僕だけじゃなくて、自分の好きな家族や友達、そして、自分の音楽が好きな人達も見てくれたらいいなという思いで、そして、キャンピングカー普及のために何かできないかなと思い歌を作りました。