小さな幸せを見つけることが出来る人は幸せに近い人
――10月7日リリースのEP「未来再来」に込めた想いを教えてください。
ハルハ 「いつまでも夢を見て踊る心と生きてほしい」というメッセージを込めて制作させていただきました。夏休み前の高揚感であったり、テーマパークに入った瞬間のワクワク感が何よりも好きで、あのワクワク感をずっと持っていて欲しいなと。子どもの頃ってそういう感覚をたくさん持っていたと思うんです。「明日好きな本の新刊が発売される」とか「もうすぐ好きな子に会える!」とか。そういう身近な喜びみたいなものをたくさん抱えて生きていた。でも、年齢を重ねていくごとに薄れていってしまうことってありますよね。
昔は大げさなことを言っても咎められなかった。たとえば子どもの頃に「宇宙飛行士になりたい!」と言ったらすごいね、と言われるのに今言ったら笑いにとらえられてしまう。叶う・叶わないは別として、今その瞬間ワクワクしていた方が日常って豊かになるし、楽しいと思うんです。このEPを通してそんな未来にワクワクしていた気持ちを一緒に感じて欲しいなと思い、タイトルをつけました。
――夏休み前の高揚感、楽しみなことがある前日のワクワク感ってすごく分かります。その感覚が言語化されて、楽曲になっていくということが素敵ですね。お二人とも同じ感覚を持っていたのでしょうか?
ハルハ コンセプトやタイトルは元々僕が考えていたことをヨナべさんに相談しましたが、近い感覚があるのだと思います。
ヨナベ 私はハルハくんほど感受性が豊かではないと思っているんですが、ハルハくんが日々出会った小さな楽しいこと、ワクワクすることを話してくれた時に、そういう感情を抱けることがすごく素敵だなって学ばせてもらっています。小さな幸せを見つけることが出来る人は幸せに近い人だと思います。
ハルハ 実際にあるか無いかはさておき、白い雲の中に城があるのかもと思っていたほうが面白いし、海底には昔沈んだ神殿があるとか、人間がたどり着いたことがない未踏のジャングルがあるとか、そういったことにワクワクするのですが、友達に話した時に「何が楽しいの?」って言われて(笑)。僕はこういう話を大人になっても居酒屋でしていたいのですが、そう思わない人がいることも分かるから。でも、この話をヨナべさんにした時に「雲の中にお城はあってほしい」と言ってくれたので、感覚が近いのかなと思います。
――リード曲となっている「草縁」はharhaの結成前夜について書かれた曲だそうですね。
ハルハ 温めていた曲なので世に出すことが出来て嬉しいです。僕がヨナべさんに出会ってharhaを結成し、これからどんな未来が待っているんだろうというワクワク感をベースに作った楽曲ですし、「未来再来」というEPの根底にある楽曲です。“草縁”の意味合いとしては、愛おしく想うものがあって、そこが起点となって色々な縁が広がるというもので、まさに僕らの出会いに近いなと思っていて。
――その気持ちを“草縁”というタイトルで紡ぐことが素敵だなと思います。普段から言葉については勉強したり、意識して集めているのですか?
ハルハ 谷川俊太郎さんの詩集が大好きで、高校生の頃からずっと持ち歩いています。詩集なのでどこから開いてもいいですし、ふとした時に読んで言葉を噛み締めていました。言葉に対して面白いなとか、この言葉とこの言葉繋げたらこんな意味合いになるんだ、みたいなことをよく考えていたと思います。
――ヨナべさんはこの「草縁」でハルハさんの言葉を受け取った時にどんな印象を受けましたか?
ヨナベ 「草縁」の1番を作った後、2番を作り始めるまでの間に、私がプライベートでネガティブに感じてしまうことがあって、その話をハルハくんにしました。その後に出来た2番が「もしかしてあの出来事について私のことを応援してくれているのかな?」という内容だったんです。「君の悩みの種はなんだ」とか、「与えられたその宿命は 理由や根拠も君には無いくせにさ」という所にすごく応援されているなと感じて。
ハルハ その事に関して作った曲では無いのですが、少なからず聞いた話の影響は受けていると思います。誰かに対して漠然と楽曲を作るよりは、イメージするその人に対して作った曲の方が言葉の幅が出ると思っていて。ヨナべさんにそう受け取ってもらえたのならば、聴いていただく方にも届くと思っているので、何か言葉一つでも響いてくれたら嬉しいです。