高校時代は深夜までお笑いを見る日々「近所のレンタルビデオ店」で漫才や落語も借りて
――著書のテーマ「細かいところが気になりすぎて」は、本業のツッコミにも役立ちそうな印象です。
橋本 モヤモヤしてもツッコむことで浄化しやすいし、仕事にもつながっているのでありがたいです。芸人でなくても、ツッコミでもなくても、細かいことが気になりすぎる方はものごとを見る視点の角度を変えることできっと何かしらの対処ができると思いますし、共感してもらえるならうれしいですね。日常にある理不尽への切なさ、怒りみたいな感情は、たくさんあると思うんです。ちっちゃいことに気がついて、そこから何かが広がっていくのも楽しいので、僕の場合はツッコミですけど、それぞれの出口を考えてみるのもおすすめです。
――橋本さん自身は、幼い頃から細かいことが気になりすぎる性格だったそうですね。
橋本 親父が厳格な人だったので、実家で空気を読んでいた影響はあるかもしれませんね。シャイで引っ込み思案で、学校の授業中に手を挙げるのも恥ずかしがっていたほどです。用心深かったので、周囲をよく観察していたし、脳内でこっそり、身近なできごとにもツッコんでいました。
――例えば、どんなことにツッコんでいたのでしょう?
橋本 幼稚園の砂場で遊んでいて、先生の胸の谷間がチラッと見えたとき、子どもながらに「これ、見たらあかんやつや!」と気がついて目をそらしたり。もう一つ、幼稚園に弁当を保温する保温庫があって、その機械の力を頼ったのか、おかんが冷凍ピザやカレーを弁当として持たせたときには「なんでや!」とツッコんでました(笑)。
――そんな発想が生きるお笑い芸人の世界に憧れた理由は?
橋本 テレビの影響でした。家に帰ったらすぐにテレビを付けて、あらゆるバラエティ番組を見ていました。(明石家)さんまさんや(ビート)たけしさん、タモリさん、ダウンタウンさん、ウッチャンナンチャンさん、とんねるずさん、ナインティナインさん…と、お笑い界の諸先輩方みなさんを見てきました。
――お笑いに憧れながらの青春時代は、中学から大学にかけて、エスカレーター式の学校へ通っていたそうですね。
橋本 自由な学校で、通学も私服やったんですよ。中学時代はタッチフットボール部に所属して、部活帰りに友だちとサッカーゲームの「ウイニングイレブン」や、野球ゲームの「パワフルプロ野球」で盛り上がっていました。高校時代は帰宅部でしたけど、放課後に友だちと買い物へ行ったり、何の変哲もないけれど楽しい青春時代でしたね。お笑い番組も相変わらずよく見ていて、高校時代はそれこそ、録画した番組を深夜まで見ていました。近所のレンタルビデオ店では、エロビデオコーナーの隣にあったお笑いコーナーに置かれた、世代ではなかった漫才ブームのビデオとかを借りて、落語のビデオとかもよく借りていました。