留学先のホストファミリーが放った音楽活動復帰を後押しした一言「あなたはもっと歌った方がいい」
――当初、音楽活動に戻るとは考えていなかったようですが、2年間の海外留学を経て、なぜ再び音楽活動を再開したのでしょう?
武藤 自分を見つめ直すために渡った留学先のニュージーランドでも、歌っている自分がいたんです。一番のきっかけは、現地でお世話になったホストファミリーでした。部屋で歌っていたら「あなたはもっと歌った方がいい」と褒めてくれて、改めて「歌が好きなんだな」と再認識できたんです。そこからは、日本に帰ったら「歌おう」と決めて、ビザが切れるまでの残り半年ほどは、現地でボイストレーニングに通いました。
――決意も新たに。活動休止を経てのステージ復帰は、2018年12月でした。
武藤 海外留学から帰ってきて、準備期間は半年ほどだったと思います。留学先で太ってしまったし、ビジュアルを戻さないとまずいなと思ったのでトレーニングもして。事務所に所属していなかったけど、歌を届けることに意味があると思ったし、周囲の力も借りてライブを実現しました。伴奏は大学の友人にお願いして、グッズ制作は幼なじみに協力してもらったんです。会場も電話で予約するところから、過去の芸能活動で周囲の方にどれほど支えられていたのかが分かったし、達成感もいっぱいでした。
――以降、作品リリースやライブを精力的にこなしている印象もありますが、ステージ復帰後の活動で、自身のターニングポイントになったできごとは?
武藤 筒美京平先生のトリビュートコンサート「~筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト~ ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート」(2021年4月)への出演です。筒美先生の作品に囲まれたステージへたずさわれたのはうれしかったですし、その公演をきっかけに、作詞家の松本隆先生、作曲家の林哲司先生の公演にも招待していただいて、ブレずに「昭和の曲が好き」と言い続けるのは大事だと改めて感じられたし、私の夢を叶えてくれた忘れられない日でした。
――28歳の現在、公式YouTubeチャンネルでも昭和歌謡のカバーをアップしてしますが、昭和レトロブームの後押しも受けて世代を超えた“橋渡し役”になりたいとの意欲もありますか?
武藤 あります。いい曲がたくさんありますし、同世代にも聞いてほしいですね。橋渡し役になれるようにこれからも頑張っていきたいと思います!
Information
Memorial HOTEL
2024年12月10日(火)リリース
武藤彩未のソロデビュー10 周年記念を記念したオリジナルアルバム。尊敬するシンガーの川嶋あいやシティポップの巨匠である林哲司楽曲も。ソロデビュー 10 周年ということで、10 曲収録されたこのアルバムは、 応援してくれているファンとともに 10 年間の思い出を旅しながら感謝の気持ちを伝えたい、 またこれからのひとりひとりの道のりに寄り添い、 心の拠り所となれるようにと色とりどりの部屋 (曲)をイメージして制作。
武藤彩未
1996年4月29日生まれ。茨城県出身。幼少期よりモデルや、キッズグループ「可憐Girl’s」として活動。アイドルグループ「さくら学院」の初代生徒会長(リーダー)としての活動を経て、ソロアイドルとしてデビュー。抜群の歌唱力、表現力で人気を博す中、活動を休止し海外留学へ。多くのことを吸収しシンガーとして活動を再開し、自身が小さい頃から大好きな80年代を思わせるどこか懐かしくも新しいレトロポップな楽曲を唯一無二のストレートなクリアボイスで歌う。父は元騎手で現調教師の武藤善則氏、弟にJRA騎手の武藤雅氏を持ち馬に囲まれて育ってきた。馬がいて物音を立てれない実家では、親が運転する車内でのみ音楽に触れることができ、その影響で80年代の曲を好むようになった。
PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:SYUHEI KANEKO