同世代のバンドの人たちとツアーを回ったのがターニングポイント
――お二人ともオーディションでグランプリを獲得。田﨑さんは2013年1月からソロ活動を始めますが、同年12月に長谷川さんとユニットを組むことになります。それぞれの第一印象をお聞かせください。
長谷川 あさひちゃんは、「第3回 FOREST AWARD NEW FACE オーディション」の審査中に、白のワンピースでピアノを弾きながら、元気に「Rolling Days」というオリジナル曲を歌っていて。その姿がキラキラして可愛くて、私と一歳しか違わないのにピュアなイメージで、ステージを明るくしていたイメージが強いです。
田﨑 私は二人でユニットを結成することが決まって、一緒にボイストレーニングを受けるときに、スタイリッシュなパンツルックスで現れて、素敵なお姉さんだなと思いました。
――すぐに馴染むことはできましたか?
長谷川 学校で同じクラスになっても、同じグループになるタイプではなかったので、最初はたどたどしい感じではあったよね?
田﨑 そうだね。
長谷川 歌のレッスンを重ねていく中で、ハモったり、掛け合いしたりをしていくうちに、自然と二人で話し合うことも増えて、徐々に距離感も近くなっていきました。
――同じグループになるタイプではなかったというと?
田﨑 私は学校でも自分から手を挙げるタイプではなかったので、どちらかというと消極的な性格でした。
長谷川 私は部活が大好きで、高校時代はテニス部と陸上部を掛け持ちしていましたし、人と常に関わって、ずっと喋って、みんなに歌も聴かせるみたいな学生生活を送っていました。
――田﨑さんは高校時代、何か部活をやっていましたか?
田﨑 空手部と卓球部に所属していました。
――空手は小さい頃からやっていたそうですが、なぜ卓球もやろうと思ったんですか。
田﨑 本当はバトミントンをやりたかったんですけど、バトミントン部がなくて。だったらテニスをやろうかなと思ったんですが、「日焼けするのはちょっとな……」と。それで少しだけ似ている卓球にしました(笑)。
――Bitter&Sweetは2014年3月にデビューして、精力的なライブ活動を行っていきます。ユニットとしてのターニングポイントを教えていただけますか。
長谷川 デビューしてしばらくは二人でライブやイベントに出ることが多かったんです。たまに単発で年の離れたミュージシャンの方にサポートしていただき、セッション形式で歌うこともあって、たくさんの勉強をさせていただきました。そういう時期を経て、2016年のときに転機が訪れて、同世代のバンドの人たちにサポートしていただいてツアーを回ったんです。
――2017年5月17日にシングル『幸せになりたい。/写真には残らないシュート』でメジャーデビューしますが、その前年ですね。
長谷川 ライブハウスでバンドと息を合わせて一体となる空気感、その時々で歌い方や演奏が変化するライブ感が楽しくて、それも今までの経験があったからこそで。そこから「自分たちでやっていくぞ!」という能動的な気持ちが芽生えました。
田﨑 そのツアーで感じたこと、ステージ上から見た景色が忘れられなくて、「私がやりたかったことはこれなんだ!」と思えたので、大きなターニングポイントですね。
長谷川 バンドでやるようになって、リハーサルからメンバー全員が対等な立場で意見を言い合えるようになったことで、これからミュージシャンという方向性で活動していくんだという気持ちが強くなりました。
――デビューして10年が経ちますが、長く活動を続けている女性二人のユニットは貴重です。何か秘訣はありますか?
長谷川 よく「珍しいね」と言われるのは、二人で喧嘩らしい喧嘩をしたことがないんです。そもそもお互いに喧嘩が苦手というのもありますが、そのときに思ったことを、その場で言葉にしたら、思いもよらぬ方向で傷つけてしまうかもしれない。ちゃんと気持ちが伝わらないかもしれないから、一旦持ち帰って、考えをまとめてから言葉にして伝えるようにしています。よく一緒に食事もしますし、時にはスタッフさんにも相談して、チームBitter&Sweetとして積み重ねてきたことで、良いバランスが生まれているのかもしれません。
田﨑 メールのやり取りだけだと伝わりにくいこともあるので、対面して話し合いすることが大切だと思います。
長谷川 一緒に仕事をしていると、おなかが空くタイミングも一緒で、食べているものも似通っているんです。だから体調もそっくりみたいな時期もあって。地方を回らせていただくときも、生活習慣が近いので、お互いに「分かる分かる」みたいな瞬間が多くて、より二人の関係が濃くなっていったところもあります。
――家族以上に過ごしている時間も長いですしね。
長谷川 家族であり、仲間であり、友達のような存在ですね。