タモンズを演じた二人の役作りは完璧

──映画を観て、それぞれのキャストにどんな印象を持ちましたか。

安部 そりゃもう和田(正人)さんはやり過ぎでしょう。

大波 完璧じゃないですか。僕そのもの!めっちゃかっこいいじゃないすか。ヤバいやろ(笑)。

安部 だったらアニメとかでいいでしょ。それに対して駒木根さんは完璧です。僕そのものです。

大波 漫才中の立ち方まで似てますから(笑)。

安部 それで言うと和田さんも、持ってる素材は違いますけど、喋る間合いとか、漫才するときの僕へのいなし方が、本当に大波やなって思いました。

大波 似てるやろ?

安部 だから素材は違うんすよ。鶏肉と最高級の黒毛和牛ぐらい全然違うものなんだけど、ちゃんと鶏肉の味を出してくれてるっていう感じですかね。

大波 へえ、似てないかぁ。

──クランクイン前に二人と役作りについてお話しする機会はあったんですか。

大波 特にないです。

安部 そうですね。

大波 だからびっくりしました。ご挨拶はさせてもらったんですが、込み入った話をしたわけでもないのに、ここまで仕上げてもらえるって、役者さんは尋常じゃないですよ。

安部 見事ですよね。

──ここまでリアルに自分たちのことを描かれていて、気恥ずかしさはなかったですか。

安部 恥ずかしかったんですけど、めっちゃいいもん作ってくれたなっていううれしさのほうが勝ちました。

大波 僕は序盤から大号泣。

安部 普通は自分の話であんま泣かないですよ。

大波 自分のことが好きなんで。

――最後に映画の見どころをお聞かせください。

大波 傷を負った経験のある人は全員見ていただきたいです。負け知らずで、そのまま棺桶まで行っちゃうみたいな人もいるじゃないですか。そういう人は僕たちが何をやっているのか意味が分かんないと思うんです。失敗したら、次に切り替えて自分の能力に見合う違う世界へ行けっていう意見もあるじゃないですか。でも行けないんですよね。

安部 ちょっと心配なのが、僕が奥さんに尻に敷かれているような描写があるんですけど、リアルすぎて。それを見た奥さんが「私、感じ悪くない?」ってキレないかって。「あんたがインタビューで変なことを言ったんじゃないの?」みたいなことにならないかなというね。

──奥様は映画の話を聞いたとき、どんな反応でしたか?

安部 その時点で「私の役はあんの?」「誰がやんの?」って気にしてました。

大波 僕の奥さんは、「安部さんの奥さん役があって、なんで私の役がないん?」って逆の意味で怒ってました。だからタモンズのファンとして出て来る女性が、あなたらしいよってウソをついておきました(笑)。

安部 でも実際ちょっと入ってますよね。いろんな人の複合ですから。

──奥さんは大波さんを和田さんが演じたことに関して、どんな反応でしたか。

大波 もう大興奮でしたね。でも僕のほうがかっこいいって言ってましたよ(笑)。

Information

『くすぶりの狂騒曲』
新宿バルト 9、イオンシネマほか全国ロードショー中!

和田正人 駒木根隆介
辻凪子 土屋佑壱 永瀬未留 / 徳井義実(チュートリアル) 岡田義徳ほか

監督:立川晋輔
脚本:中村元樹
配給:イオンエンターテイメント 吉本興業
製作:NTT ドコモ・スタジオ&ライブ 吉本興業 テレビ埼玉 the ROOM
Ⓒ2024「くすぶりの狂騒曲」製作委員会

「大宮セブン」が活動する大宮ラクーンよしもと劇場は少ない客、会社からの非難や悪口などなどお世辞にもその扱いは良いものとは言えなかった。追い打ちをかけるようにコロナ禍により劇場などの活動が停止し、収入低下などにより彼らの不安や状況は悪化の一過を辿っていた。そんな中、「大宮セブン」メンバーの「すゑひろがりず」がM-1グランプリで決勝進出をはたし、YouTubeでの活動から人気を得て大宮セブンの活動にも変化の兆しが見え始める。さらに続くようにR-1でのマヂカルラブリー野田の優勝、M-1グランプリでマジカルラブリーが優勝を果たし一気に大宮に注目が集まる。メンバーも各賞レースで結果を残し、大宮セブンの躍進が始まる。しかし初期メンバーであるタモンズは仲間の活躍を横目に、飛躍のきっかけを掴めないまま、手掛かりを掴もうともがき苦しんでいた。現状を打開するためにコンビ名を改名したり、果てには新たにメンバーを追加してトリオになろうとしたり、明確な指針もないまま迷走を始める。そんな彼らの様子を間近で見ていた大宮セブンのメンバーは夜中に相談に乗ったり、自身の問題と重ねたりしながらタモンズを何とか支えるのであった。メンバー間の友情、応援などを経てタモンズは芸人を目指した時の純粋な気持ちを思い出し、ラストイヤーのM-1グランプリへ最後の挑戦に挑むのであった。

公式サイト
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タモンズ

大波康平(1982年11月14日生まれ。兵庫県出身)、安部浩章(1982年5月24日生まれ。兵庫県出身)によるお笑いコンビ。NSC東京校11期生の二人で2006年4月結成。2014年11月、ユニット「大宮セブン」結成。2012年と2013年に「THE MANZAI」認定漫才師50組に選ばれる。2024年、「THE SECOND~漫才トーナメント~」グランプリファイナル進出。主な出演番組に「それゆけ!大宮セブン」。

PHOTOGRAPHER:TOHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:松本 英子