時間を忘れて何かに没頭できる人を見るとうらやましい

──「つづ井さん」の原作を読んだときは、どんな感想でしたか。

藤間爽子(以下、藤間) 毎エピソード、「こんなことが実際に起きてるの?」というような驚きがあって、めちゃくちゃ面白かったですし、絵もかわいいし。絵が動いてないから面白いというマンガならではの醍醐味もあって、これをどう実写化するのか想像もつかなかったですし、不安な部分もありました。

──主人公のつづ井さんを演じるわけですからね。

藤間 原作ファンの方がたくさんいる上に、今回が私にとってテレビドラマ初主演ということで、期待に応えられなかったらどうしようというプレッシャーもありました。撮影期間は約1ヶ月半だったんですが、ずっと朝から撮影というのも初めての経験でしたし、ずっと現場にい続けるのも初めてだったのでドキドキしていました。

──事前に準備などはしましたか。

藤間 原作をしっかり読み込みましたが、つづ井さんを作り上げるのは難しかったですね。

──使う言葉も独特ですしね。

藤間 そうなんですよ!聞いたことのない用語もありましたし、文法の使い方がちょっと独特で面白かったり、興奮すると膨大なセリフを早口で言ったり。最初はセリフを覚えるのにも戸惑っていたんですが、中盤になるとすーっと入っていけるようになって、つづ井さんが馴染んでいったのかもしれません。

──つづ井さんの部屋にはBLやアクスタなども実際に置いてありました。

藤間 一度もこういう文化に触れたことがなかったので新鮮で、現場ではみんな「勉強だ」と言いつつBL本を堂々と読んでハマっていました(笑)。本番以外でも「私はこの絵が好きだ」とか、いろいろ話し合っていましたね。

──藤間さん自身、オタク要素はありますか?

藤間 私はそんなにないかもしれないですね。何かにどハマりした経験もないし。私の周りには、けっこうオタ活をしている子がいて、時間を忘れて何かに没頭できる人を見るとうらやましいなと思います。生きている充実度が違うというか。私はお仕事の延長線にあるものを趣味にすることが多いので、全く別の世界のことに没頭できるのは憧れます。

──作者のつづ井さん本人にもお会いになったんですよね。

藤間 何度かお会いしました。初めてお会いしたのは撮影の中盤が過ぎたぐらいのタイミングで、つづ井さんと“前世からの友”何人かで撮影現場に遊びに来てくださいました。顔を存じ上げなかったので、有名人に会うよりも緊張しました。

──実際につづ井さんとお会いした印象はいかがでしたか。

藤間 マンガ通り穏やかで優しくてピュアな方で。お友達たちにもご挨拶させていただいたんですが、私たちが撮影している姿を見ながら喋っている会話が、マンガの世界そのものなんですよ。やっぱり本当なんだと感動しました。