小さい頃からやっていた日本舞踊とは違う世界に飛び込みたかった
──俳優をお仕事にしていこうと考えたのも小学生のときですか?
藤間 確かに小学生の頃は無邪気に「女優さんになりたい」と言っていましたが、次第に自分の見た目はかわいくないと現実が見えて来るわけですよ。それで女優さんになりたい夢が萎んでいって、日本舞踊の師匠だった祖母が亡くなったのもあって、このまま日本舞踊をやっていくんだろうな、しっかりと敷かれたレールを歩もうと思っていたんです。
――諦めかけた俳優の道を再び目指し始めたきっかけは?
藤間 大学卒業を控えて周りが就活をし始めたときに、小学生の卒業文集に書いた「女優さんになりたい」という思いが再燃したというか。みんながお仕事を決めていく中で、夢を叶えることに年齢は関係ないかもしれないけど、そのときは今のタイミングを逃したら、一生できないみたいな焦りがあったんです。小さい頃から当たり前のようにやっている日本舞踊とは違う世界に飛び込みたい、自分で何かを掴み取りたい欲求がぐっと高まって。演劇の勉強なんてしたこともないけど、一か八かやれるだけのことはやってみるかと思って俳優の世界に飛び込みました。
──やや遅めの俳優デビューでしたが、それで良かった部分はありますか?
藤間 このお仕事は感覚がずれていくところがあるんですよね。早くから芸能活動を中心にやっていたら、もっと業界に染まっていたのかなと。私は会社勤めをしているお友達も多いですし、30代になると結婚の話も聞くし。そういう同世代のリアルな声が聞けるのは、お芝居にも生きているのかなと思います。
──俳優としてターニングポイントになった作品は何でしょうか。
藤間 やっぱり「つづ井」さんは、初めての主演なので大きく意識が変わりました。今まで、いろいろな作品で主演の方を見てきましたが、自分が主演という立場になってみると景色が違いますね。いろんなことを気にかけなくちゃいけないですし、何より楽しい!もちろん脇役も楽しいですが、ほぼ全編に携わることができて、全体像が見える面白さは格別でした。
──改めて藤間さんにとって、「つづ井さん」はどんなドラマでしたか。
藤間 大人になると何かを全力で楽しむことってなくなっていくじゃないですか。撮影を通して全力で楽しむことを忘れていたなと思ったので、全力で何かに没頭する面白さに気付かせてもらいました。
Information
「つづ井さん」
木曜深夜 0 時 59 分〜
放送局:読売テレビ「ドラマ DiVE」ほか
TVer での見逃し配信もあります!
原作:つづ井 「まるごと 腐女子のつづ井さん」(文春文庫)/「裸一貫! つづ井さん」(文藝春秋)
脚本:竹村武司
監督:高橋名月(1・2・3・4 話)、のむらなお(5・6・7・9 話)、安村栄美(8・10・11・12 話)
出演:藤間爽子 桜井玲香 谷まりあ 北村優衣 木竜麻生
製作:ytv/murmur/HIKE
プロダクション:murmur
©つづ井/文藝春秋/「つづ井さん」製作委員会
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI