Rick OwensのパンツをTHE WILL RABBITSにプレゼント

――日本武道館公演のときは、CoreさんがTHE WILL RABBITSのステージ衣装をスタイリングしたと仰っていましたよね。

Novel Core もともとおしゃれに気を使っているメンバーばかりで、ドラムのHibikiさんはファッションカルチャーに興味を持っていましたし、ギターのKumaさんは憧れのロックミュージシャンから影響を受けたエッセンスを入れていました。ただ、それぞれテイストが違ったので、バンドとして後ろに立ってもらうときの統一性や、ファッションや身だしなみに対する意識みたいなところは横並びにしたいなというのがあって。THE WILL RABBITSという名前を渡した直後ぐらいに、これを持っておけば何と合わせてもかっこいいし、そこからもっと洋服に興味を持ってくれるかなという期待もあって、お祝いで一人ずつ形の違うRick Owensのパンツをプレゼントしたんです。そしたら、みんなパンツに合わせた新しいアイテムや、アクセサリーにも興味を持つようになって、どんどんおしゃれになっています。

――武道館のときは、どうやってスタイリングしたんですか。

Novel Core 二人ずつ集まってもらって、僕の好きなお店を一日回って。事前にお店に連絡をしていたので特別にラックで用意してもらって、一着ずつ合わせながら、「こういうシルエットだと体格的にこうだから」「肌の色的にこういうのがいいよ」「素材感はこっちのほうがいいんじゃない」「スクエアフレームのサングラスのほうが似合うよ」というやり取りをして、現場でヒアリングしながら決めていきました。そのときに伝えたアイディアが、みんなの中で活かされていて。たとえばHibikiさんに関して言うと、ずっと僕はメガネやサングラスが似合うと思っていたんですが、本人は躊躇していて。でも武道館のスタイリングでサングラスを入れたら気に入ってくれて、それ以降もサングラスをかけていてうれしいですね。

――なぜRick Owensをプレゼントしたんですか?

Novel Core 一本持っておくと、仕立てもいいから長く穿けるのもありますし、シーズンが変わっても同じ型のものが出続けて、シグネチャーモデルが幾つもあるのでテーマが普遍的というか、トレンドに左右されないかっこよさがあるんですよね。僕自身、大好きなブランドで、スニーカーもGEOBASKETを毎日のように履いています。

――Rick Owensのコレクションラインは奇抜なものも多いですよね。

Novel Core  Rick Owens本人が奥さんと一緒に服を引きずりながらストリートを歩いていますからね(笑)。さすがに日常生活に支障のあるものは選ばないことが多いです。僕はスタイリングを自分でやっているのもあって、雑誌などに出させてもらうときの衣装も境目がなくて。そもそも私服を買いに行くという名目で洋服を買いに行く時間がないに等しいんですよ。私服として併用できる衣装を想像しながら洋服を選ぶみたいな感じなので、衣装としても着れるけど、普段着ていても楽だし、収納にも困らない。クリーニングに出すにしても、手入れが楽なのを選ぶようにしているので、ぶっ飛んでいる特殊なルックは、ほとんど手を出していないです。

――インスタなどを拝見すると、あくまでもリアルクローズですよね。ちなみにアーティスト写真はどういうふうにコーディネートしているんですか。

Novel Core アーティスト写真は、“今までとこれから”というフェーズを明確に切り分ける大切なポジションに置いているものです。だから今までのことを考えつつ、これからの自分がどういう存在になっていきたいのか、どういう人たちに、どういうふうにアプローチしていくのかみたいなことをチーム内で話し合って。その上で出てきたイメージを明確にするために衣装を組んでいくという作業の繰り返しです。年々、そこもシンプルになっていて。12月に新しいアーティスト写真を撮影するんですが、シンプルな構成になっています。

――なぜシンプルになっているのでしょうか。

Novel Core こう見られたいというよりは、今は等身大で素直で違和感がないものが、ナチュラルな形なのかなと思っています。だからアーティスト写真も、今の自分を一言で表現するとこうだよねというのを視覚化するみたいなところでビジュアライズさせてもらっています。