27歳を迎える誕生日“2025年4月28日”の一夜限定ステージは「俺の生前葬」に

――最後のコラボレーション楽曲はバラードの「ゴースト feat.新藤晴一(from ポルノグラフィティ)」です。ポルノグラフィティの新藤晴一さんによる、自身初の“完全楽曲提供による企画”となりました。

Bimi 晴一さんは、俺が(廣野凌大名義で)俳優としてミュージカル(「a new musical『ヴァグラント』」)で主演を務めたときのプロデューサーだったんです。ミュージカル好きな晴一さんの願いがやっと実現した作品で、そこで仲よくなって飲みに誘ってもらったりするうちに「いつか歌詞を書いてくださいよ」と話していたことが、今作でようやく繋がったんです。ただ、晴一さんは「オレ、凌大みたいにラップは書けないよ」と言っていて「自分のスタイルの詞しか書けないけど、大丈夫?」と心配されていたんですけど、俺からは「もう、晴一さんに全部任せます。俺に歌わせたい曲を書いてください。マジでお願いします!」と伝えました。

――自身で作詞作曲を手がけていて、他の方から提供された曲を表現するのは新たな刺激にもなったのでは?

Bimi やっぱり、違いますね。まず、ラブソングを書いてくださったのが驚きでした。でも、違和感はなかったです。恐縮ですけど、晴一さんと酒を飲みながら作詞の話をしていると、考え方がめちゃくちゃ似ているんですよ。おたがいに熱くなっちゃって「五七五で音が決まった俳句のようなもので、情景を表す季語があって、修飾を加えていくだけだから、そんなに難しく考えなくていいんじゃないか」と俺が言ったら「そうやな」と一言、晴一さんが納得してくださったこともありました。晴一さんは「月」や「風」といった情緒的な表現が好きな印象もあって、自分では選ぶ言葉の感覚が似ていると思っているんです。俺がラブソングを歌うのは、いつも聴いてくれる人たちからすれば結びつかないかもしれないですけど、今作の「ゴースト」はスッと入ってきたし、歌いやすかったですね。

――ここまで、コラボレーション楽曲を中心に紹介してきましたが、全13トラック中で、今作時点での自分をもっとも象徴する曲を選ぶとしたら何でしょう?

Bimi 今の自分にとっては、1曲目の「辻斬り」が大きいです。色んな苦労を経て、音楽の中で遊べる手ごたえを味わったんです。アーティストであれば誰でも抱える思いで、俺のファンや、俺に興味がある人が聴けばグッと来るけど、興味がない人には何も伝わらないかもしれないじゃないですか。それでも「一発で決まる」と自信を持って作れたのがR&Bとヒップホップをかけ合わせた「辻斬り」で、女声パートも自分でやっていますし、面白さを感じてもらえると思います。

――今作のリリースを経て、27歳を迎える2025年4月28日には東京・Spotify O-EASTで「Bimi Live Galley #04 -Dear 27th-」を開催します。

Bimi 何かを「見せよう」と意識せず、いつも通りの楽しいライブにしたいです。ただ、メジャー1stアルバム『R』でも掲げた27歳での「人生の節目」として「自分の葬式」を組み込もうと思っています。このタイミングで一度、自分を評価する時間を設けて、それを評価してほしいというか。俺がここまでに何をやってきたのか、その答えを見せたいです。

――ステージの演出は、ご自身が主演を務めた舞台『鋼の錬金術師』でも脚本・演出をされている石丸さち子さんですね。

Bimi 俺が演劇に携わってきた中で一番、影響を受けた人なんです。愛があるからこそのスパルタで、言葉の大切さを一つひとつ丁寧に教えてくれました。繊細な心の表現、演出としての絵づくりが巧みで、俳優が不安になるのも計算してプレッシャーを与えながらも「不安になるのは分かる。でも、その先には本来出すべき感情がちゃんとあるから」と言葉にして背中を押してくれるし、暗に「そこで飛び込め、恐れるな」と勇気を与えてくれる人なんですよね。俺の節目に描いていた公演との親和性も高いと感じられたし「俺の生前葬を作ってください」とお願いしたら快く引き受けてくださって、よりいっそう気合いが入りました。

――その公演の直前、2025年4月26日からは7月6日までに全国10都市を巡る、メジャー1stアルバムをひっさげたツアー「Bimi Release Party Tour 2025 -R-」もスタートします。

Bimi 4月28日の公演とは別の感覚で、アルバムを覚えてきてくれれば楽しめるステージを作っていきます。Live Galleyで一度死んだ先に何が見えるのか分からないので、早くツアーを終えたいという変な焦りもあるんです。やってみないと分からないし、何をどうするかは「未来の自分が決めること」とギャンブルのような生き方をしてきたので、一度ゼロになってから、また新たに何かがはじまるんじゃないかと期待しています。