マンガが原作のキャラクターは上手く作品と向き合えるかどうかが大事
――ここからはキャリアについてお伺いします。このお仕事に興味を持ったのはどういうタイミングだったのでしょうか。
鈴木 小さい頃からサッカーをやっていると、誰しも「サッカー選手になりたい」と思いますが、中学でクラブチームに入るとスタメンを取るのも大変だし、自分より上手い人がたくさんいて。そのクラブチームもJリーグの下部組織とかではないので、早々にプロになるのは無理だなと諦めたんです。それで別に打ち込めることをやりたいと考えていたときに、モデルという仕事に興味を持ちました。
――なぜモデルだったのでしょうか。
鈴木 母親がファッション好きでアパレル関係の仕事をしていて、小さい頃から僕もいろんな服を着せてもらっていたのが影響していたと思います。あとは身長も高かったので、事務所の面接を受けたのが始まりです。だから最初は役者になるとは全く考えていなかったです。
――実際にモデルのお仕事はいかがでしたか。
鈴木 カメラマンさんと1対1ではなく、現場にはたくさんの大人の方がいて、そんな中でカメラの前に立つのは単純に恥ずかしかったです。当時は高校生だったので、すごい世界に飛び込んだなと。与えられた仕事には真剣に取り組んでいましたが、最初はあまり考えずにやっていましたね。徐々に先輩たちの姿を見て、どうすれば同じ土俵に並べるだろうかと考えるようになりました。
――2016年に第31回MEN’S NON-NOモデルオーディションで準グランプリに選ばれ、その翌年にはドラマ「リバース」(TBS)で俳優デビューします。
鈴木 役者を始めたら、モデルとは比にならないぐらい恥ずかしくて恥ずかしくて(笑)。同じことを何度もやるのに抵抗があったんです。
――俳優としてターニングポイントになった作品は何でしょうか。
鈴木 大きかったのは「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」(18/TBS)というドラマに出演したときです。同世代の方がたくさん出演していたんですが、深く考えてお芝居と向き合っているのを間近で見て、「これじゃ駄目だ」と思ったんです。映画では『のぼる小寺さん』、『ジオラマボーイ・パノラマガール』(20)が大きくて。いわゆるイケメンキャラではなく、ちょっと外れた変わった子みたいな役をやらせてもらったときに、すごく楽しかったんですよね。それで芝居をやりたいという気持ちが強くなりました。
――今回の『かくかくしかじか』もそうですが、マンガが原作の作品に多く出演しています。オリジナル作品とマンガが原作の作品では、演じる上で意識の違いはありますか?
鈴木 やはりオリジナル作品は自由に遊びを入れたり、ふざけたりできる幅が広いですね。もちろん原作がある場合も、忠実にキャラクターを演じながらも、随所で遊びを入れることがあります。でも重要なシーンでは、ちゃんと原作を活かしたいという気持ちがあります。僕自身、マンガが大好きだからこそ、そういうシーンを原作ファンは大切にしているだろうと思うので、上手く作品と向き合えるかどうかが大事だと思っています。
――今ちゃんについてはいかがでしたか。
鈴木 アキコ先生が「今ちゃんはこういう気持ちで演じるといいよ」とフランクに話しかけてくれましたし、撮影現場でも「今ちゃんだね」と言ってくれて、それが正解なので安心できました。何かしら迷ったときも「アキコ先生がこう言っているんだから」と思い切り楽しめました。
――ちなみに、どんなマンガのジャンルが好きですか?
鈴木 幅広く読むのですが、特にスポーツ物が大好きです。中でも『GIANT KILLING』が大好きで、中学生のときに全巻揃えて、それからは発売と同時に新刊を買うようにしています。『GIANT KILLING』は監督視点なところが好きで、根性だけではなく、采配や戦術的なものも描かれていて、僕の中では伝説的なスポーツ漫画ですね。
――改めて映画の見どころをお聞かせください。
鈴木 やっぱり明子先生と日高先生の人生模様が大きな見所です。まさに今、学生の方は口うるさい先生や先輩がいるかもしれませんが、そこには愛があるんだよというのを感じてもらえたらなと思います。今ちゃんの視点で言うと、ヤンキーの部分と何かに打ち込むときの二面性や愛らしさなど、僕が原作のマンガを読んで感じた今ちゃんの魅力を感じていただけたらうれしいです。僕自身、今ちゃんみたいにヤンキーでビジュアル強めの役はあまりやってこなかったので、新しい一面を皆さんに届けられるんじゃないかと。その中で、自分の柔らかい部分が、今ちゃんという役柄の良さに直結して繋がったんじゃないかと思います。
Information
『かくかくしかじか』
絶賛全国ロードショー中!
出演:永野芽郁、大泉洋、見上愛、畑芽育、鈴木仁、神尾楓珠、津田健次郎、有田哲平、MEGUMI、大森南朋
原作:東村アキコ
監督:関和亮
脚本:東村アキコ 伊達さん
主題歌:MISAMO「Message」(ワーナーミュージック・ジャパン)
音楽:宗形勇輝
配給:ワーナー・ブラザース映画
原作:『かくかくしかじか』東村アキコ(集英社刊)
©東村アキコ/集英社 ©︎2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
漫画家になるという夢を持つ、ぐうたら高校生・明子(永野芽郁)。 人気漫画家を目指していく彼女にはスパルタ絵画教師・日高先生(大泉洋)との戦いと青春の記録があった。先生が望んだ二人の未来、明子がついた許されない嘘。ずっと描くことができなかった9年間の日々が明かされる。
鈴木仁
1999年7月22日生まれ。東京都出身。2014年「アミューズオーディションフェス2014」ファイナリスト。2016年「第31回メンズノンノモデルオーディション」で準グランプリを受賞し、デビュー。2017年、ドラマ「リバース」(TBS)で俳優としてもデビューし、数々の話題作に出演。今、最も注目を浴びている若手俳優の一人。主なドラマ出演作品に「花のち晴れ~花男 Next Season~」(18/TBS)、「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」(19/NTV)、「TWO WEEKS」(19/KTV・CX)。主な映画出演作に『4月の君、スピカ。』(19)、『小さな恋のうた』(19)、『のぼる小寺さん』(20)、『ジオラマボーイ・パノラマガール』(20)。『ダメマネ! ーダメなタレント、マネジメントしますー』(NTV)に出演中。
PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,STYLIST:YUSUKE SASAKI
衣装協力:ジャケット¥489,500 パンツ¥190,300 ブレスレット¥326,700 シューズ¥209,000(以上、ボッテガ・ヴェネタ) シャツ・ネクタイ参考商品 ボッテガ・ヴェネタ ジャパン(0120-60-1966)