凪渡とイクミンが全曲解説「メンバー全員で乗っていた車の中」で勢いのまま完成した曲も
――最新EPの全収録曲についても伺います。1トラック目は「Alien」です。
凪渡 「テテテ…」と象徴的なメロディから世界が広がっていく曲ですね。まず、情景が思い浮かんだんです。地球で争いが起こっている最中に、空を覆うようなUFOが飛来してきて「これは何か起きるぞ」とみんなが見上げたとたん、巨大なミラーボールが現れた。それが開いて、プレートに乗って地上に降りてきたのがギターのちゅーそんでした(笑)。
イクミン ハハハ(笑)。
凪渡 僕の曲づくりでは、この曲みたいにビジュアルが入り口になることが多いんです。タイトルの「Alien」は僕らで、音楽界隈では自分の好きなジャンル以外を見下げるような発言をする人たちもいますけど、そうした風潮への皮肉も込めて、僕らが「Alien」としてステージに立ち、音楽で問いかける曲になりました。
――2トラック目「Zero Gravity」は?
凪渡 ヴィラン(悪役)が主人公になるスピンオフ映画のような、能力はあるけど不器用なキャラクターが活躍するのは、自分たちとも重なると思ったんです。友情とセンスだけでここまで来た僕らの能力が覚醒して、拘束されていた実験施設からパンッと解放され、無重力の空中に浮かび上がるようなイメージで作りました。
イクミン 僕らのエネルギーが爆発している曲。今回のEPをきっかけに「浮かび上がってみせる!」という思いを詰め込んだ、浮遊感のあるカッコいい曲になった。
――3トラック目「GIVE ME SHELTER」は、インタビュー序盤で「奥底の言葉」を形にできた曲だと自信をのぞかせました。
凪渡 昔から失敗が多く、人との関わりも苦手だった僕にとって、唯一の居場所が音楽だったんです。タイトルの「SHELTER」は音楽そのもので、自信がなくなり居場所をなくしていた僕にとって「音楽は自分の居場所なんだ」と思い出させてくれた曲です。歌い出しの「ガラガラのクラブで踊りたい」は最初にフッと浮かんできたフレーズで、華々しいステージではなくとも歌っていたいというのが自分の願いだったと気が付き、他のフレーズを結んでいきました。
イクミン 弱さをちゃんと描きながら、人間味があるのは凪渡っぽいよね。この曲で凪渡をもっと深く理解できたと思うし、強く共感できるOchunismらしい1曲です。
――続いて、4トラック目「I Need Your Love」は?
凪渡 実体験そのままのラブソングで、ある1日を切り取っています。僕は素直になれなくて、好きな人に強がってしまうし、なかなか気持ちを表に出せないんです。この曲では、過去にあった言葉にできなかった感情をすべて歌詞にかえて、歌い出しの「分かんないことは 分かんなくて良い」だったり、本音をすべて言わずとも、信じる美しさを表しました。
イクミン 情景が浮かぶ曲だよね。楽器ごとのバランスもいいし、トラックもめっちゃ気に入っています。大人っぽく、世代を問わずに届く曲になりました。
――次は、5トラック目「Ride On!!」です。
凪渡 リリースする1ヶ月ほど前にできたので、今回のEPでは一番新しい曲ですね。遠征の帰り、メンバー全員で乗っていた車の中で先にできていたトラックを流していたら、フレーズが浮かんできたんです。その場で勢いのまま歌っていたら、みんなが「いいやん!」と言ってくれて。考えすぎるクセのあった自分にとって、久しぶりにノリで作れた曲でした。スタッフさんが「この曲を入れないのなら、今回のEPの意味がない」というほど推してくれて、初心にも帰れました。
イクミン 曲ができた瞬間、盛り上がった記憶もあります。凪渡がフリースタイルで出したフレーズがどれもカッコよかったし、ノリもよくて「やっぱり凪渡の作る曲はすごい」と思いました。
――最後、6トラック目「I Wanna Rock」は?
凪渡 「素直な気持ちをそのまま出していいのか。それは、果たして許されるのか」と苦しんでいた期間が、今の自分を作ってくれたと実感できる曲です。失敗もコンプレックスもすべて自分を構成する要素なんだと気が付いたときに、歌い出しの「足りないものが僕を作ってんだ」というフレーズが浮かんできたんです。ネガティブな要素も自分にとっては意味があると、思わせてくれます。
イクミン 自分に問いかけてくるような歌詞になっているんです。「ロックって何だろう?」という疑問への答えが詰まっているし、僕らなりのロックのあり方を形にできました。
――11〜12月には、今回のEPをひっさげた全国5都市を巡るワンマンツアーも控えています。
凪渡 2025年はEPのリリースとツアーを目標にしていたので、一つひとつ、形にできるのはうれしいです。ライブで化けるEPになった自信があるし、ファンのみんなに「Ochunismヤバいぞ!」という確信を持ってもらえるようなツアーにしたいですね。
イクミン 自分たちらしさが一番出るのがライブだし、5人の持つパワーもきっと伝わっていると思うんです。楽しむことに全力なOchunismを、現場で体感してもらえるならと思います。