好きなことを見つけたら、「やりたい!」と思うタイプ

――『惑星ラブソング』は広島を舞台に、過去と現在が交錯する平和をテーマにした映画ですが、オファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。

曽田陵介(以下、曽田) 映画初主演ということでシンプルにうれしかったですね。意外と主演のプレッシャーみたいなものはなかったのですが、平和というテーマをどのように届けるのかを一番に考えました。

――初めて脚本を読んだときの感想は?

曽田 ファンタジー要素や恋愛要素もあって、現代の人が考える平和というものが上手く出ている内容で、重くなり過ぎず、ライトな読後感でした。たとえば戦時中の悲惨な映像を出すこともできると思うんですが、それだと苦手な人もいるし、堅苦しくなって勉強みたいになってしまう。そうなると、観る前に拒絶されてしまう可能性もあるので、映画を観ていただいた後に、それぞれが気持ちを持ち帰って、どう自分は考えるかという映画になっていると思います。

――曽田さんは広島工業大学出身ですが、大学卒業後も広島に行く機会はありましたか?

曽田 母校のCMをやらせていただいているので、ちょくちょく行くことはあります。ただ当時、僕は佐伯区というところに住んでいました。大学も佐伯区にあるので、広島市内に長期滞在するのは初めての経験でした。見たことのない場所もありましたし、新しくできたサンフレッチェ広島のスタジアム(エディオンピースウイング広島)も見ることができて、新鮮な気持ちで撮影に臨めました。

――外ロケが多く、広島の街並みが印象的でした。

曽田 冒頭のシーンで自転車に乗っているのですが、最初は曇りだったんですよ。でも「今から始まるぞ」というシーンは晴れのほうがいいということで、別の日に撮り直しました。完成した映像を見たときに、やっぱり晴れでよかったと感じましたね。

――モッチを演じる上で大事にしたことや意識したことはありますか?

曽田 モッチはやりたいことが見つからない、特に好きなこともないという役どころで、僕も大学時代はそうだったので共感しました。就活のときも、「本当にここでいいのかな……」と思っていたし、過去の自分が抱いていた感情を出せたらいいなと思いました。

――モッチのように目標は見つかってないけど、前に進みたいという気持ちは、誰しも若いときは持っている感情ですよね。

曽田 「そのうち、やりたいことは見つかるでしょう」ぐらいの気持ちでバイトをしているけど、アメリカに行って何かをやりたいと目標を持っているアヤカと出会って、キラキラしている姿に羨ましさを感じるのがモッチです。平和についての捉え方も、広島という場所柄もあって、「もういいじゃん。分かったよ」と情報を見過ぎてうんざりしている。それは戦争を経験したことのない多くの人に当てはまるので、そこもモッチの気持ちが分かりました。

――曽田さん自身は学生時代、モッチとアヤカどちら寄りだったと思いますか?

曽田 自分では分かりませんが、アカヤを演じた秋田汐梨さん曰く、僕はモッチと180度違うらしいんですよ(笑)。だからアヤカ寄りなのかなと思います。実際、就活をして内定をもらっているのに芸能界を選んだし、好きなことを見つけたら、「やりたい!」と思うタイプです。