自分がどこまで行けるのか試したい気持ちがあった

――今年6月15日にAKB48劇場で行った卒業公演でAKB48を卒業して一か月以上経ちました。

村山 当たり前ですけど卒業した翌日には、普通に劇場公演が行われていることが寂しかったです……(笑)。私は卒業後もAKB48が大好きなので、6月末に開催した「AKB48 18期生昇格記念LIVE!〜青い空には 雲はひとつもない〜」も観に行きました。そのとき、純粋にライブを楽しみに行く自分、元気をもらいたいなと思う自分、そして無意識に先輩しちゃう自分がいたんですよ。それで終演後、「ここ良かったよ」「あそこは、こうしたらもっと良くなるよ」と後輩に伝えました。

――8月8日に初日を迎える革命ミュージカル『新・幕末純情伝』では、舞台単独初主演を務めています。

村山 卒業公演の日に舞台出演の告知をしたんですが、その二日後ぐらいに台本が届いて。改めて主演の責任感、これから一人で活動していかなきゃいけないというプレッシャーが重たくて……。グループ時代は、たとえば総監督のなるちゃんが先頭にいるとしたら、私は後ろでみんなを支える役割。だから「自分のために頑張るってなんだろう?」と悩んで、いろいろ考え過ぎちゃった時期もありました。環境が変わることのストレスもありましたしね。そんなときに「AKB48 18期生昇格記念LIVE!」に行って、数週間ぶりにメンバーやスタッフさんと会ってホッとしました。

――『新・幕末純情伝』は、つかこうへいさんの作品で、「沖田総司は実は女だった」という大胆な発想で、これまで何度も上演されてきて、錚々たる女優さんが沖田総司を演じてきました。しかも今回は本作初のミュージカルです。

村山 私自身、ミュージカル経験はあるんですが、今回は“革命ミュージカル”と銘打っている通り、ミュージカルの概念が変わる内容になっています。『新・幕末純情伝』は“女優の登竜門”と言われていて、私は女優をやりたくてAKB48を卒業した訳ではないので、まさかこんな歴史のある作品をやらせていただけるなんて思いもしませんでした。でもやるからには新しい沖田総司を作り上げたいです。

――殺陣もあるので稽古は体力勝負でしょうね。

村山 体力づくりのために、みんなで体幹を鍛える日課もありますし、殺陣の練習はあざだらけで、毎日が筋肉痛です。お芝居で使う刀を持ち帰らせていただいて、家の中でも練習しているんですが、すごく難しいですね。

――先ほど女優をやりたくてAKB48を卒業した訳ではないと仰っていましたが、どうして舞台をやることになったのでしょうか。

村山 本当はAKB48を卒業したら、この世界から引退しようと決めていたんですが、卒業を発表する直前ぐらいから、やっぱりファンの方々は私がステージに立って表現している姿を見るのが好きなんだなと改めて思うことが多かったんです。それに自分がどこまで行けるのか試したい気持ちもありました。卒業して一発目が『新・幕末純情伝』という大きな作品で重圧もありますが、ここで踏ん張れないと、自分の伸びしろも限られてくると思うので、我慢比べのような気持ちで取り組んでいます。

――今後のビジョンをお聞かせください。

村山 今はお芝居に限らず、いろんなことに挑戦していきたいです。もっと自分は面白い人になりたいなと思うんです。そのためにも人が経験してないことを経験して、自分は何が得意で、何が不得意かを探している最中です。

Information

『ハオト』
2025年8月8日(金)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

原田龍二 長谷川朝晴
木之元亮 倉野尾成美 村山彩希 三浦浩一 二瓶鮫一 植松洋 マイケル富岡 金城大和 バーンズ勇気
片岡鶴太郎(特別出演) 高島礼子

監督・脚本・プロデューサー:丈
配給:渋谷プロダクション
製作:JOE Company
2025/日本語/STEREO/アメリカンビスタ/117min
© JOE Company

初夏のある日、警察署に90歳を超えた一人の老人が甥っ子の刑事宛に訪れ、「人を殺した」と告白。老人は、太平洋戦争末期の特殊施設の話を始める。そこは、原爆開発を手掛ける博士や戦況を100%予知する男がいる、特殊機密施設。海軍の将校・蓬が、ハワイ生まれの日系人である米国の諜報員・津田を二重スパイとして雇い、施設に連れてくる。蓬は、ソ連に仲介してもらい、和平交渉を進めようと、日系ソ連人のソ連大使と陸軍将校の森本を施設に招こうと画策。方や米国は、津田の存在を怪しみ、同じく日系ハワイ人の田中を送り込む。蓬の親友である水越は、何を思って軍を辞めたのか。藍が未来に放つ白い伝書鳩は、はたして何を伝えるのか。

公式サイト
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村山彩希

1997年6月15日生まれ。神奈川県出身。2011年に行われたAKB48第13期生オーディションで合格し、AKB48のメンバーとして活動開始。2021年、舞台「マジムリ学園-LOUDNESS-」でトリプル主演。2024年、明治座で「朗読劇 細雪」の四女役で藤原紀香らと共演。2025年6月、AKB48を卒業。革命ミュージカル「新・幕末純情伝」で舞台単独初主演。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI