去年以上の何かを見せなきゃいけなかったLuckyFes
――今年の「LuckyFes」はTHE WILL RABBITSとともに出演されましたが、どのようなテーマや意識を持って臨まれたのでしょうか?
Novel Core 二つの大きな軸がありました。一つ目の軸は出演させていただいているフェスの中でも「LuckyFes」との結びつきは強くて。ロッキン(ROCK IN JAPAN FESTIVAL)がひたちなか市から撤退したタイミングの2022年に、地元のラジオ局や総合プロデューサーの堀義人さんたちが「ひたちなか市から音楽フェスをなくさない」という思いの元に作ったのが「LuckyFes」で。僕は翌年の2回目から今年まで計3回、毎年出演させていただいているのですが、始まって間もない強い目的意識のあるフェスで、堀さんや企画・運営プロデューサーのDJ DRAGONさんが「アジアで一番大きいフェスにしたい」と仰っていて、夢を一緒に追いかけていく、一緒に作っていく感覚があります。比較的、走り出して間もない僕のようなアーティストが、大きなイベントと一緒に成長していけるのは特殊な経験。去年からは、「このフェスの看板アーティストになりたい」と公言させてもらっていて、今年も呼んでもらえて、去年と同じくWING STAGEという2番目に大きいステージに出させてもらいました。まずは堀さんやDJ DRAGONさんたちに呼んでもらっただけのお返し、「こいつを呼んでよかった」と思ってもらえるパフォーマンス、去年以上の何かを見せなきゃいけないのが一つありました。
――二つ目の軸は何でしょうか。
Novel Core 「“BACK TO AGF” TOUR 2025」が終わって、1発目のフェスが「LuckyFes」だったので、ツアーで得た感覚やライブに対する意識の変化、初めて見るお客さんはもちろんのこと、ずっと追いかけてきてくれている、力を貸してくれている、最前のエリアにいるOUTERたちにも、しっかりと逞しさのようなものを感じてもらって、外の現場でも次の次元に行かなければいけないというのが二つ目の軸でした。その両軸で行くとメンバーとも話していて、リハーサルから眼前に広がる景色を想像しようと。WING STAGEは、RAINBOW STAGEという一番大きなステージと向かい合っている形なので、向こうのステージを見ているお客さんたちにまで音が届いているんです。自分たちが思っている以上にたくさんの人に見てもらえている状況を意識しながらライブをしたいよねと、メンバーと何回も話し合って本番に挑みました。
――RAINBOW STAGEを意識するとはどういうことでしょうか。
Novel Core たとえば曲と曲の間、曲の中でもそうですが、普段とは煽り方を変えていて、より遠くにいる人たちや、移動中の人たちの足をどうすれば止めることができるのかを意識してMCをしました。あとステージが広いので、僕とギターのクマさんが動き回って、できる限り遠くの人たちとも目を合わせながらパフォーマンスすることも意識しました。それに加えて、僕たちだけじゃなくてOUTER(※ファンネーム)が外の現場でも強い意識を持っているなと感じました。
――どういうときに感じたのでしょう?
Novel Core 最前にいるOUTERが、最前のエリアだけで盛り上がるのではなくて、後ろにいる初めて僕たちを見るであろう子たちに、「面白そう」と思ってもらえるだけのリードをしてくれていたんです。時折、後ろを向いて盛り上がっているOUTERもいて、そういう光景を見るとうれしかったですね。それに呼応して、初めて見た人たちも盛り上がってくれたので手ごたえを感じました。
――前々回の「“BACK TO AGF” TOUR 2025」の振り返りでも、OUTERが新規の人たちに楽しみ方を教えるみたいなお話がありましたが、それがフェスにも反映されていたんですね。
Novel Core 完全にそうです。初期の頃はみんな、フェスやライブに対してまだ耐性が整っていない状態でスタートしたと思うので、どちらかというと外の現場に行ったときは教えてもらう側で、それは僕も一緒でした。でも少しずつツアーや対バン、フェスの経験が増えてきて、まだまだ僕たちも学ぶことばかりですが、同時にリードできる部分も出てきている感覚があります。「ここに関しては知見がないので先輩たちに学ぶところが大きいけど、ここに関しては自分たちしか持っていないアイデンティティや自分たちしか出せない雰囲気があるから」みたいな。外の現場に出て行ったときに、OUTERとのチームワークが、他のアーティストや、そのファンダムに伝播していくと、よりイベントを良くするための一端を担えるんじゃないかと思うんです。