出会いや再会も含めて、充実した今年のサマソニ
――「サマソニ」(SUMMER SONIC 2025)には、BMSG POSSEとして出演しました。
Novel Core 「サマソニ」にも二軸があって、Novel Coreとしては4年連続でステージに立たせてもらっていて。初年度はTHE WILL RABBITSで、翌年は「SONICMANIA」に出て、その次の年がBMSG POSSE。日本三大フェスの一つである「サマソニ」のステージに4年連続で立たせてもらえるのは貴重なことだし、Novel Coreとしても「サマソニ」に対して何ができるのか、何を残せるのかを考えながら出ていきたかったんです。それはバックヤードの過ごし方も含めて、いろんなアーティストとしゃべったり、清水さん(「サマソニ」の企画運営を担当する株式会社クリエイティブマンプロダクションの代表取締役社長・清水直樹氏)としゃべったり、そういう時間を大事にして過ごさせていただきました。
――もう一つの軸は何でしょうか。
Novel Core BMSG POSSEとしての軸なんですが、ある種ふわっとした概念だったものを、ライブをもってして「こういう奴らなんだ」っていうのを知らしめないといけないなと。そういうことをキャッチーにアイコニックに1発で見せないといけないというのがフェスにおけるステージだと思っています。だからBMSGのことをよく知っている人、理解度や解像度の高い人たちだけじゃなくて、初めて見た人たちにも一言で「BMSG POSSEを表すならこうだ」っていうのを出せるライブをしないといけないと思ったので、セットリストを決める段階からリモートミーティングを重ねて、みんなで演出のことやライブの流れを意識しながら作っていきました。実際、BMSG POSSEらしさを出せたと思うし、自分たちもやっていて楽しかったし、お客さんが楽しんでいるのも伝わってきました。
――日頃から一緒に活動している訳ではないメンバーとの意思疎通はいかがでしたか?
Novel Core 不思議なことなんですが、それぞれが全く違うベクトルで、それぞれの分野を広げて、ちゃんと畑を耕していく時間が長ければ長いほど、集まったときに息が合うんです。むしろ一緒にいると、やることもアウトプットも固定化されていって、5人もいるとやりたいことがぶつかっちゃうんですよね。5人が5人、全然違うことをやればやるほど、そこに対して各々が真剣であればあるほど、5人が集まったときにかみ合う気がします。
――その理由は何だと思いますか?
Novel Core おそらく志や目指したいものが同じなんです。ただ戦うフィールドだったり、やってる音楽だったりが違うだけ。結果的には、いろんな人が分け隔てなく、ボーダーラインなく楽しめる空間を提供したいというのが、僕たちの目指す場所だと思っていますし、その辺は去年よりも精度が上がっています。特にShota (Aile The Shota)とREIKOは一緒にいる時間が長いのもあって、どういうフィールドで、どういうことをやっているのか、どういうフェーズかなど、普段からお互いの悩みを相談していて。そういうこともあってステージ上で全員が背中を預けている感覚がありました。
――BMSG POSSE内での役割分担はあるのでしょうか。
Novel Core 特にはなくて、みんなでそのタイミングそのタイミングで意見を出し合ってみたいな感じです。リハーサルで細かい曲と曲のつなぎにどういう一言を入れようかとか、誰がそこを担当しようかとか、そういう細やかなところは決めますが、パフォーマンスに関してはとりあえず通しでやってみて、それでいい感じになるっていうのがあります。決してボーイズグループのライブが悪いって意味じゃないという前提でお話をすると、BMSG POSSEでやる以上はボーイズグループとして見られちゃうともったいないと思っているんです。みんながみんな同じ動きをして、揃っているみたいな時間が長ければ長いほど、絶対にボーイズグループっぽく見えちゃう。それは僕たちが意図していることと違うので、いい意味でわちゃわちゃして、いい意味で違うことをしていて、誰かが歌ってる最中に誰かが後ろで水飲んでてもいいみたいな、そういう空気感を大事にしようという意識を、みんなが少しずつ持っていました。
――ヒップホップ・クルーのライブみたいな?
Novel Core まさしくそうですね。A$AP Mobみたいな。
――お客さんの反応はいかがでしたか?
Novel Core すごく楽しんでくれていたと思います。BE:FIRSTやMAZZELなども出演していましたし、どれだけ初めてBMSG POSSEを見た人たちがいたのかは窺い知れないんですが、少なくとも足を止めてくれた人たちが、ちゃんと楽しんでくれていた空気感はありました。終演後のSNSのコメントを見ても好意的な意見ばかりで、今年は5周年記念の流れもあってBMSGのアーティストがほぼ出ている中での締め括りが僕らで。「締め括りにふさわしくBMSGとは何たるかを見た気がした」というコメントもあって、それが伝わったのはうれしかったです。
――他のアーティストとの交流はありましたか?
Novel Core あちこちに行って、いろんな人と話していたんですが、すごくうれしかったのが、Spotify Stageがヒップホップをメインにしていて、JP THE WAVYくんやElle Teresaちゃんなど先輩や友達が出ていて。その中でswettyのフィーチャリングゲストで出演していたKamuiくんに久々に会えたんです。Kamuiくんは僕が18歳のときにWWWとかで一緒にライブをしていた先輩で、ヒップホップアーティストとして、初期からTohjiさんやRalphくんとかともやる一方で、THE ORAL CIGARETTESのヤマタクさん(山中拓也)とも曲を一緒にやったりして、ロックシーンにもいるミクスチャーな人なんです。久々にそのライブを見ることができて、裏で会って話もして。そういう出会いや再会も含めて、充実したサマソニでした。
過去の連載記事はこちら
https://strmweb.jp/tag/novelcore_regular/
Novel Core
東京都出身、24歳。ラッパー、シンガーソングライター。
SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル “BMSG” に第一弾アーティストとして所属。
高いラップスキルと繊細な歌唱技術を保有しながらも、等身大の言葉で紡ぐ飾らない表現力とパワフルなライブパフォーマンスが話題を呼び、幅広い世代から強い支持を集める。
ヒップホップとロックを軸に、様々なサブカルチャーを融合させた独自のミクスチャーサウンドは、ジャンルに縛られない自由な表現として高い評価を獲得。これまでに発表した全てのアルバム作品が主要チャートで日本1位を獲得するなど、その名を確かなものとしてきた。
2024年1月、日本武道館での単独公演を完全ソールドアウトで成功させ、翌2025年2月には自身初となるアリーナ単独公演を決行。
大型公演に限らず、全国各地のライブハウスを巡るツアーも精力的に展開し、圧倒的なライブ力と真摯な姿勢でファンダムとの強い信頼を築いている。
また、ライブの総合演出をはじめ、衣装のスタイリングからアートワークのデザインに至るまで、全てのクリエイティブにおいて一貫してNovel Core自身がディレクションを担っており、その鋭い感性は音楽シーンの枠を超えて高く評価されている。
FERRAGAMOやETROなどのトップメゾンのモデルにも起用されるなど、ファッション業界からの注目も高く、アーティストとしての表現領域をさらに広げている。
音楽、ファッション、アートワークなど、多種多様なカルチャーへの愛とそれを裏付ける実力で、Z世代を牽引する新世代ミクスチャーアーティスト。
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI