もっとミュージカルの世界を深く知りたいと思った
――今年6月から8月まで上演されたミュージカル『ブラック・ジャック』でピノコ役を演じましたが、初のミュージカル挑戦はいかがでしたか?
矢吹 最初は不安な気持ちもあったんですが、やってみて楽しかったです。難しい部分も多かったんですけど、稽古場のときにはできなかったことや、思いもつかなかったことが、本番の舞台上で「こういうふうにやってみよう」と閃く瞬間が何度もあって、その時々によって変化をつけて演じられたのが面白かったです。ミュージカルもお芝居も、より好きになれた現場でした。今後もミュージカルをやっていきたいですし、ここで学んだことを映像のお仕事でも活かせたらいいなと思っています。自分の中で成長でしたね。
――今までやってきた歌と、ミュージカルでは違う部分もあったかと思います。
矢吹 今まで音で全部覚えていたんですけど、音で伝えるというよりも、言葉を届けなきゃいけないということだったので、「気持ちよく歌っちゃダメ」と言われていて、「セリフと同じぐらいの感覚で」と指導されていました。それプラス、私が演じたピノコは完成形じゃないキャラクターだから、わざと音程やテンポをずらさなきゃいけないんです。今までやってこなかったアプローチだったので、最初は苦戦しました。でも、だんだん面白くなってきて、音程をずらすのも音符で決まっている訳じゃないので、毎回違うようにやっていいんです。感情を出し過ぎると一音も合わないなんてこともあって、毎回いろんなピノコが出てくるのが楽しかったです。
――舞台の緊張感はいかがでしたか?
矢吹 それが全然緊張しなくて、「本番ってこんな緊張しないものなんだ」と思いながらやっていました。アイドルの頃は初日なんてめちゃくちゃ緊張していたので自分でも不思議でした。
――それだけ本番を楽しめていたのかもしれませんね。お芝居に力をいれたいという気持ちはいつ頃からあったんですか?
矢吹 そもそもグループを卒業しようと決めた理由が、お芝居をやりたかったからなんです。
――今年12月から始まるミュージカル『サムシング・ロッテン!』にも出演しますが、ミュージカルに力を入れたい気持ちは強いのでしょうか。
矢吹 ミュージカルに関しては、最近観始めたばかりですし、ミュージカル界には小さい頃からやっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるので、私には難しいかなと思っていました。でも『ブラック・ジャック』で共演した方々から、いろんなお話を聞いて、もっとミュージカルの世界を深く知りたいと思いましたし、たくさん観て、演じて学びたいです。
――最近のオフの過ごし方は?
矢吹 ずっと家にいることが多かったんですけど、最近は外に出ようと思って、予定を入れるようになりました。今まで予定を立てるのがおっくうで、全部のスケジュールが埋まるのが好きじゃなかったんです。でもミュージカルで、ほぼ毎日お稽古に行っていた期間に、休みに誰かと会いたいと思うようになって、カレンダーをぎゅうぎゅうにするようになりました。あまりの変わり様に自分でもびっくりしてます。もちろん今もおうち時間は大好きで、よくダイヤモンドアートをやっています。
――いつ頃からダイヤモンドアートにハマっているんですか?
矢吹 IZ*ONEの活動で韓国にいた頃なので、かなり前からです。完成まで一カ月以上かかることも珍しくないんですが、細かい作業が好きなので、逆にストレス発散になります。ラジオを聴きながら、深夜にやることが多いですね。
――最後に改めてドラマ『君がトクベツ』の注目ポイントを教えてください。
矢吹 皇太とさほ子の恋の行方はもちろんですが、ライクレのメンバーの関係性も、より深く描かれていますし、叶翔くんとえみかの不器用な恋模様も応援しながら観てもらえるとうれしいです。
Information
ドラマ『君がトクベツ』
MBS/TBSドラマイズム枠で毎週火曜深夜に放送中
MBS・24:59~ TBS・25:28~
畑芽育 大橋和也(なにわ男子)
木村慧人(FANTASTICS) 矢吹奈子 山中柔太朗(M!LK)
大久保波留(DXTEEN) NAOYA(MAZZEL)
原作:幸田もも子「君がトクベツ」(集英社マーガレットコミックス刊)
監督:浅野敦也、宮本秀光
脚本:おかざきさとこ、桐乃さち
©幸田もも子/集英社・ドラマ「君がトクベツ」製作委員会・MBS
超人気アイドルグループ「LiKE LEGEND」のカリスマ的リーダー・桐ヶ谷皇太(大橋和也)と定食屋の店員・若梅さほ子(畑芽育)。ある日偶然の出会いを果たした二人だが、さほ子からの拒絶に、皇太の心が揺さぶられ……。アイドルと一般人の、交わるはずのなかった恋が今始まる!
矢吹奈子
2001年6月18日生まれ。東京都出身。2013年8月、HKT48第3期生オーディションに合格し、翌年4月よりチームHとして活動を開始する。2018年に韓国で開催されたオーディション番組『PRODUCE48』に参加し、「IZ*ONE」のメンバーに選ばれる。2018年10月29日に「IZ*ONE」としてデビューし、専任活動を開始。2021年4月に、2年6か月の活動期間を終了。2021年5月より、HKT48として2年5か月ぶりに活動再開。俳優業を本格的にスタートし、連続ドラマにも多数出演。2023年4月に行われた卒業コンサートでHKT48を卒業。現在は俳優業を中心にバラエティ番組等でも活躍。最近のドラマ出演作に、『素晴らしき哉、先生!』(朝日放送テレビ)、『御上先生』(TBS)など。
PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:舩戸美咲,STYLIST:松尾正美