先生に助けられて生きてきた人生
──バレエを辞めて、ロスにはならなかったのでしょうか。
倉沢 なりました。何をしていいか分からない状況でしたし、必要ないのにストレッチはしちゃうし、バレエの映像を観たり、シューズを履いたり……。自分から辞めたのに戻りたいと思うことは何度もありました。先生が厳しくしてくれたのも、私を育てようとしてくださったからだと理解していたんですよね。でも中学に入って、バレエを辞めたおかげで、新しく自分が好きなことや打ち込めるものを見つけることができたので、そっちに移行できました。

――新たに打ち込んだものは何でしょうか。
倉沢 生徒会です。先ほどお話しした友達と一緒に、「中学の生徒会に入っちゃう?」みたいなノリで入りました(笑)。朝会でみんなの前に立って挨拶することもあったんですが、やっぱり会議が楽しくて。何もないところから形にしていく作業や、みんなで一緒に一つの方向に向かってやるのが面白かったんです。3年生を送り出す卒業式の時は、遅くまで学校に残って会議をして、廊下に飾り付けをして。そういう作業にやりがいを感じていました。
――生徒会ではどんな役割を担っていたんですか。
倉沢 会議では、意見を出すというよりは場を和ませる役割でした。先生から、「あなたがいると会議が和むからいたほうがいい」と言われたこともあります(笑)。バチバチしてピリッとする空間が苦手なので、そういうときに何か変なことを言って、空気を柔らかくしたくなっちゃうんです。

――先生との関係にも恵まれていたんですね。
倉沢 幼稚園の頃から、先生に助けられて生きてきた人生だなって思います。忘れられないのが小学校6年生の時の最後の面談で、女性の先生が「あなたの人生はこれからバラ色だから」と言ってくださって励みになりました。進路に迷っていた時は、塾の先生から「行動したら何とかなるタイプだからやってみな」と背中を押していただいたり。英語の先生から、「本格的に英語を学んだほうがいい」と留学を勧めていただいたり。節目節目で大切な先生に出会い、導かれてきました。
――先ほど『ハイスクール・ミュージカル』のおかげで英語に興味が湧いたと仰っていましたね。
倉沢 英語を学ぶ前から、『ハイスクール・ミュージカル』のサウンドトラックを耳コピしていたおかげで、本格的に英語を学び始めてから発音を褒めていただけることが増えました。それで中学生の時の英語の先生に「横浜市の英語弁論大会に出てみないか」と声を掛けていただいて、その先生の元で夏休みに本格的に英語でスピーチをするということを学んで、もっと英語を学びたいなと思い、そういう大学に進学しました。
Information
2026年NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」に豊臣兄弟の妹・あさひ役で出演予定。2026年1月4日(日)より放送開始。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI
