良介が振り回しているようで、僕自身が振り回されていた

――城定監督の演出はいかがでしたか。

成宮 こちらの意見を柔軟に聞いてくださるのですが、違うと思ったことはハッキリしている方ですね。すごく優しいんですけど、ご自身で脚本も書くので、俳優よりも役を把握している。目は笑っているんですけど、たくさんの作品をいろんな形で作ってきた叩き上げの方なので、ちゃんと鋭さがあるんです。同じ体温、同じ温度で作品に向き合っていれば、楽しく過ごせる方というか(笑)。あまり「こうしてほしい」と言う方ではないので、積極的に自分から意見を言うようにしました。

――大変だなと感じたことはありますか。

成宮 監督は撮影した映像を、その場で見返さないんですよ。だから演じる側としては怖いんです。僕は映画のお芝居をするのが久しぶりだったので、映像を見ながら修正できないところに難しさを感じました。でも、監督の中では、「撮れている」という感覚があるので、そこを信じてやっていました。

――個性的な役者の方々とお芝居をされて、印象に残っていることを教えてください。

成宮 小手さんは、さすが演劇出身だなと思うくらい面白くて、毎回笑いをこらえて演じていました。良介にとって舎弟のようなデメキン役の二ノ宮(隆太郎)くんも、真面目にやっているのがバカバカしくなるくらい毎回やってくることが違うんですよ。役柄的には良介が振り回しているようで、僕自身が振り回されています(笑)。

――完成した映画をご覧になった感想をお聞かせください。

成宮 撮影の時よりも、さらにスピード感が増していて。何度も観てもらうと、「ここってこういうことだったんだ」と分かるような、脳汁ドバドバ系の映画です。ミステリアスな悪女のし~な(森七菜)と見つめ合うシーンも、もうちょっと長かったんですが、編集によってキュッと詰まっていて、スピーディーに進んでいくんですよね。きっと1回目に観た時と2回目に観た時では、パズルのようにはまっていく感じがあって、だいぶ印象が変わるんじゃないかと思います。ムードとしては香港映画のような、湿度を感じる映像に仕上がっていて、そこも僕は好きでした。

――今回の映画で、新たに得たものはありましたか。

成宮 40代中盤になってから、再びお芝居を始めているので、今はすごくフラットな気持ちでいます。ただ、この年齢になっても生活感のない自分みたいなところがあって、たとえばお父さんみたいな役が、まだしっくりこないんです。なので、良介のように尖ったやんちゃな役ができるのはありがたいですね。僕ならではの色を出すとするなら、いろんな役を演じられるんだけど、怪優みたいなポジションになっていけるといいなと思っていて。そうなるには、やんちゃで何をするか分からないところが必要だなというのを今回感じました。こういう役は定期的に演じていきたいですね。