周りから見たらなんてことないコンプレックスも自分にとっては一大事

――2023年は映画『死体の人』や『おとななじみ』、ドラマ「君に届け」や「ひともんちゃくなら喜んで!」など、出演作が立て続けに公開・放映されていますが、かなりお忙しいんじゃないですか。

山﨑 たまたま今まで撮っていたものが一斉に出ている時期なので、意外と忙しい感覚はなくて、一つひとつの作品に集中して取り組めています。

――作品が続いている時、役は引きずらないほうですか?

山﨑 役にもよるんですけど、これから公開予定の初主演映画『夢の中』で6キロ減量したんです。役に向き合いながら半年かけてウォーキングで痩せたので、撮影が終わった後も、なかなか役が抜けなかったです。

――他の仕事をしながら6キロの減量はきつかったんじゃないですか。

山﨑 その時期は、あまり仕事がなかったんですよ。だからめちゃめちゃ集中できて(笑)。『夢の中』は、私の名刺になるような作品になるなと思ったので、真剣に役に向き合いました。

――なかなか仕事に恵まれなかった時期、ネガティブな感情になることはありましたか?

山﨑 正直、気持ちが落ちることもありましたけど、会社の皆さんや、私のことを知っている周りの人たちが口を揃えて「大丈夫。これからだよ」って言ってくれたんです。ネガティブになりそうな時、周りが引き上げてくれたおかげでポジティブに活動できていました。

――現在放映中のドラマ「隣の男はよく食べる」にも出演していますが、事前に原作コミックは読みましたか?

山﨑 読みました。ドラマはビジュアルも含めて原作コミックを忠実に再現しているんですが、実写になると、登場人物の温度感が伝わるし、倉科カナさん演じる麻紀さんの作るご飯の彩りも食欲をそそります。

――コミックが原作の場合、役作りに違いはありますか?

山﨑 コミックは求められているキャラクターや登場人物の関係性が分かりやすいですし、実際に今回も原作を参考にさせていただきました。

――山﨑さんが演じる清原茜は、どんなキャラクターですか。

山﨑 茜ちゃんは麻紀さんが働く企画営業部のメンバーで後輩。ずっと仕事に打ち込んでいて、恋愛と縁がなかった麻紀さんとは対照的に、若いうちからパッと恋愛して、パッと結婚してみたいなタイプです。先輩を気遣う言葉が多くて、人のことをよく見てる子だなと思います。

――どんな役作りを意識しましたか?

山﨑 とにかく美容に気を抜かないようにすること。屈託のない女性なので嫌味はゼロだけど、であるがゆえに麻紀さんのコンプレックスを刺激するようなことをグサッと言っちゃうナチュラルボーンな感じを出すようにしました。あと充実したキラキラ女子なので、どんな時も口角を上げるように意識しました。

――山﨑さん自身、キラキラ女子の要素はありますか。

山﨑 うーん……私は高校生から芸能活動を初めて、就活もしていないですし、大学に通っていないのもあって、学生同士の飲み会とか、合コンの経験がないんです。だからキラキラ感は私自身、実感したことがないんですけど、いつもニコニコしている人間なので、そこに“キラキラ”を感じていただくことは多いかもしれないです。

――今お話ししていても、笑顔が絶えないですよね。

山﨑 人が大好きなので、誰とお話していても楽しいんですよね。あと昔から頬骨を上げて、背筋を伸ばそうと意識して生きてきたので(笑)。それが自然と出るようになったのかもしれません。

――主人公の麻紀は35歳と山崎さんと一回り近く年上ですが、共感する部分はありますか?

山﨑 麻紀さんは長年恋愛をしていなかったことにコンプレックスを感じていて、それによって相手に踏み込めなかったり、自分に自信が持てなかったりします。私も麻紀さんとは違うコンプレックスではありますが、自分が持ってるコンプレックスなんて周りから見たらなんてことなかったりするのに、自分にとっては一大事みたいなことがあって、そこは麻紀さんと同じだなと思って共感しました。