共演した中学生の女の子をヒントに役作りした「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」

――「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」の出演が決まる前から、『新世紀エヴァンゲリオン』は観ていましたか?

村田寛奈(以下、村田) 高校生の頃に観ていたんですが、今回の出演が決まった時に改めてテレビ版と映画版を一通り観直しました。すごい量でしたね(笑)。

――高校時代に観た時と今では印象も違うのではないでしょうか。

村田 全く違いました。面白いのはもちろんですけど、難しい部分もたくさんあって。高校生の時って、そこをスルーして観てたんでしょうね。今回、分からないところはエヴァ好きの人に聞いてみたり、自分なりに調べたりしたんですけど、それぞれ別の意見を持っていたので、自分の好きなように捉えていいのかなと思いました。

――舞台のお話を聞いたのはいつ頃ですか?

村田 決まったと聞いたのは年明けすぐだったと思うんですけど、「エヴァンゲリオンの舞台!?」とびっくりしました。

――初めて台本を読んだ時の印象はいかがでしたか?

村田 アニメと映画とは全く違う、新たな世界のエヴァンゲリオンだなと。今の世の中に対しての疑問などを提示しているように感じました。私は14歳のパイロット役をやらせていただくんですけど、エヴァを知ってる人だと、「こことここが繋がってるのかな」みたいな風にも楽しめるなと思います。直接的にリンクしている訳ではなくて、もしかしてそうなのかもみたいなエッセンスがあるのかなと。

――最初にもらった台本と、完成稿に違いはありますか。

村田 かなり違います。最初にいただいたのは箱書きに近いもので、そこから稽古のたびに内容が変わるぐらい、脚本家の方だけじゃなくて、キャストも演出家の方も含めて、みんなで「ここはもうちょっとこうしたいよね」みたいに話し合いを続けて、すり合わせていきました。

――村田さんが演じるエリはどんなキャラクターでしょうか。

村田 箱書きの時点だと、どんな人物なのか浮かんでこなくて。「自分たちで好きなように作り上げていいよ」という形で投げてもらったので、模索しながらも、私の好きなエリを作ることができました。14歳のパイロットで、明るくてまっすぐで元気な、本当に「中学生!」という感じの女の子なんですけど、芯の強さや自分の考えることに対して正直で、物事を客観的に見ることのできる賢い女の子です。14歳とは思えない大人びた一面もあるけど、喋ると中学生なんですよね。

――役作りで準備したことはありましたか?

村田 舞台稽古の前に、たまたまお仕事で中学生の子と一緒に撮影する機会があったんですけど、見てると本当に純粋というか、何に対してもまっすぐ。自分も14歳の時は、こんなだったかな?と重ね合わせつつ、役作りの上で参考にさせていただきました。

――アニメのエヴァはパイロットの少年少女が、様々な葛藤を抱えていますが、舞台もそうですか?

村田 14歳なりに抱えてるものというか、自分がこうだって信じたいものに対して、なんで私はエヴァのパイロットとして戦わなきゃいけないんだろう……みたいな葛藤があります。エヴァに乗らないと、みんなを守れない。でもエヴァに乗ったら、自分が信じてきたことが守れなくなる、みたいな。両方の天秤にかけられるみたいな葛藤はエリも他のパイロットも持っています。

――舞台のセットはどんな感じなんですか?

村田 セット自体は、これで舞台やるの?みたいなシンプルな装置なんです。でも、そこにパペットや映像が加わると、ものすごく豪華で。初めてセットと映像が組み合わさったステージを観た時は、キャスト全員の口がぽか~ん(笑)。映像はもちろんですが音楽も素晴らしくて。演出のラルビ(シディ・ラルビ・シェルカウイ)さんが海外から招聘した音楽監督の方(アレクサンドル・ダイ・カスタン)なんですけど、和洋折衷の要素もあって、全てが融合した時にゾワッとしました。