分からないことだらけだったからこそ、もっと分かりたいと思った
――大学では主にどんなことを学んでいたんですか。
三村 大学を選ぶ際に、作る側よりも、作ったものをどう運営するかに興味があったので、ファッション流通を主に学びました。服飾史にも興味を持つようになって、大学の後半はその勉強もしていました。
――大学で学んだことでお仕事に活きていることはありますか。
三村 日本海外問わずフォトグラファーの方の知識はあるほうだと思いますし、大学で学んだ自分の見え方、見せ方みたいなものは、この仕事にも繋がっている気がします。
――お芝居を始めたのは、23歳のときですが、その前から興味はあったんですか?
三村 ずっとやりたい気持ちはありました。高校生の後半から二十歳ぐらいまで映画館に通うようになって、邦画を中心に、いろいろな映画を見る中で、『バベル』という作品に衝撃を受けて、出演していた菊地凛子さんが大好きになりました。
――俳優デビューとなったドラマ「女の機嫌の直し方」の撮影現場はいかがでしたか。
三村 簡単に言うと難しいなと(笑)。本当に勝手が分からなかったので、こういう風な流れなのかとか、こんなに大勢の人が動いて作っているんだとか、システマティックに進んでいくので戸惑いましたね。ただ分からないことだらけだったからこそ、もっと分かりたいなと思いました。
――2021年に「ぼくの名前はズッキーニ」で舞台デビューしますが、養護施設が舞台の物語で、三村さんは父親から性虐待を受ける6歳の子どもを演じました。
三村 舞台も分からないことだらけで、毎日の稽古が本当に辛くて……。そのときの演出家さんの方針が、あまり口出しをせずに、最後まで一緒に迷いましょうというスタイルだったんです。まずは好きなようにフリーでやってほしいと言われて。それをキャリアのある俳優さんは楽しんでいるんですけど、初舞台の私だけパニックみたいな。楽しめるどころかついていくのに必死でした。大変だったんですけど、周りの方々に恵まれて、皆さん助けてくださって、無事に本番を迎えることができました。
――今年は『ロストケア』で初めての映画出演も経験しました。
三村 ドラマとは違った緊張感があって、スタッフさんとキャストさんの距離感も近くて、すごく勉強になりました。あまり映画館に行かない両親も、この作品は見に行ってくれたんです。前田哲監督が、この映画は介護について描かれているから、家族と会話するきっかけになるみたいなことを仰っていて。実際、私も『ロストケア』のおかげで、両親と普段はできないような会話をすることができました。
――今後のビジョンをお聞かせください。
三村 もちろんドラマも舞台も映画も出たいですし、もっともっと欲張りたいです!あと声のお仕事もしてみたいですね。ちょっと変わった声なので、ナレーションなどにも挑戦したいです。
PHOTOGRAPHER:YU TOMONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI