石井杏奈さんは芯があってズバッと意見を言ってくれる、かっこいいお姉さん
――ccのオファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか?
秋田汐梨(以下、秋田) オファー自体は結構前にいただいていて、石井杏奈さんとW主演ということは聞いていたんですけど、その時点では内容を知らなかったんです。ただ演出の杉原邦生さんのSNSを見たら、すごく楽しそうな方だったので、面白そうな作品になりそうだなと思っていて。春先にオーディションを開催していてダンス審査があると聞いて、ダンスがあるなんて聞いていなかったので不安になりました(笑)
――最初は普通の学園ものかと思いきや、どんどん特殊な設定になっていきますけど、初めて台本を読んだときの印象はいかがでしたか。
秋田 正直、一度読んだだけでは、自分が演じる未羽の感情の動きも、あんまり整理がつかなくて。すごく不思議な世界観だし、これを舞台でどう表現するんだろうというワクワクがありました。台本を読んだだけでは理解できなくて、お稽古をしながら、みんなで理解を深めていきました。
――すぐには作品の理解が及ばないという経験は過去にもありましたか?
秋田 設定は、もう少し現実味があるんですけど、映画『惡の華』(2019)のときも演じる役の気持ちを理解したり想像したりするのが難しくて、『SHELL』とはまた違う意味で人それぞれの内面的な部分が表れる不思議な作品だなと感じました。
――今回はどのように、みんなで理解を深めたのでしょうか。
秋田 本読みが3日間あったんですけど、そのときにみんなでディスカッションして、この世界はどうなっているのか、どのように設定が入れ替わっているのか、この人たちはどうやって生きているのかなど、共通認識を持っていきました。それぞれが違う意見を持っていて、同じ本を読んだのに、こういう捉え方もあるんだという発見がありました。
――いろいろな解釈ができるストーリーですからね。
秋田 背景はグリーンバックで、物も少なくて、教室のシーンは椅子だけ。シーンによってお客さんが観ている前でセットを動かすんですけど、観ている人に情景を想像しやすいようにというのが目的らしくて、そういう演出も人によって解釈が変わってくるんじゃないかなと思います。
――未羽というキャラクターには、どんな印象を持ちましたか。
秋田 積極的に学校集会を開くなど、学校を変えたいという意識が強くて、みんなの前に立つのも苦じゃない。正義感が強くて、自分の意見をしっかり持っている子です。特殊な世界に触れて、それについて解明しようと働きかけた結果、いろんな事実を知って、振り回されて。それだけ感情に素直に生きている子なので、そういう性格を意識して役作りをしました。
――未羽の要素は、秋田さん自身にもありますか?
秋田 私は流されやすいタイプで、学生のときも「みんなについていきます」みたいなタイプだったので真逆です(笑)。
――石井杏奈さんとの共演は初めてですか?
秋田 一度、「言霊荘」というドラマで共演させていただいているんですけど、ご一緒したのは2シーンぐらいだったので、ちゃんとお話するのは今回が初めてでした。
――接してみた印象は?
秋田 芯があってズバッと意見を言ってくれる、かっこいいお姉さんです。みんなを引っ張ってくれるときもあれば、優しく見守ってくれるときもあって、一緒にいて心地良いです。
――W主演って特別なものがありますか?
秋田 2021年の舞台『目頭を押さえた』も、筒井あやめちゃんとW主演で、今回と同じ学生役。そのときが私にとって初めての舞台だったというのもあるんですけど、同じ境遇の人がもう一人いて心強かったんです。今回も二人で一緒に主演を務めるという安心感があります。