舞台は毎日、ちょっとずつお芝居が違うのが面白い

――現場の雰囲気はいかがですか。

秋田 初日の本読みの自己紹介のときに杉原さんからお聞きしたんですが、学生時代、文化祭や体育祭が本当に楽しくて、これを仕事にできる職業って何だろうと考えた結果が演出家だったそうなんです。そういう方なので、学校みたいにワイワイしながらお稽古をしました。でも賑やかなときと真剣にやるときの切り替えもしっかりしているので、集中しやすかったです。

――キャストの皆さんも賑やかなんですか?

秋田 そうですね。中でも水島麻理奈さんが盛り上げ隊長で、いつもみんなを笑わせてくれる面白いお姉さんです。岡田義徳さんも、すごくボケるんですよ(笑)。小道具で使用できない携帯電話があるんですけど、お稽古の休憩中に、いきなり岡田さんが稽古場で電話をし始めて。静かにしようと思っていたら、持っていたのが小道具の携帯電話で、通話をしているフリだったんです(笑)。あまりにもリアルでツッコむこともできなかったんですけど、それぐらい和やかな雰囲気でした。

――会場のKAAT神奈川芸術劇場ホールの舞台に立つのは初めてですよね。

秋田 はい。『SHELL』は日常会話がたくさんあるので、自然なお芝居になりがちなんですけど、お稽古のときに杉原さんから「大きい会場だから、お芝居っぽさもないと伝わりにくい」と言われて。自然な形で感情が後ろのほうのお客様まで伝わるかを意識しています。

――舞台のやりがいは、どういうところに感じますか。

秋田 映像作品はリハーサルもありますけど、基本的にその日に段取りして、すぐに本番が始まるから、すり合わせの時間が短くて、自分で役を作り上げていくのが大切です。舞台は一か月以上かけて、みんなで一つの作品を作ります。みんなでディスカッションする時間もたくさんあるし、同じシーンを何回も繰り返して、そうする中で毎回新しい発見があって。誰かのお芝居を受けて、自分はこうなった、などを感じながらお稽古を重ねることができるので、より自分の役に向き合うことができるのが醍醐味です。また、本番は最初から最後まで一連なので、自分の中でも感情が途切れることがなくお芝居ができます。同じ舞台で同じ脚本だけど、毎日、ちょっとずつお芝居が違ったりするのも面白いです。

――初日と千秋楽では内容も変わりますしね。

秋田 前回出演した舞台『幽霊はここにいる』は演出家の方が全公演を観てくださって、毎日楽屋に来て、「このシーンは、こういう感じでやってください」と新たな指示をいただくんです。なので中日ぐらいでガラッと変わったシーンもあって、初日と千秋楽では違う作品に見えたと思います。そこも舞台の面白さですよね。