伊藤沙莉さんは一緒にいるだけで元気をもらえる

――昔から朝ドラに出るのが夢だったそうですね。

川床明日香(以下、川床) 親が好きだったこともあり、物心がつく前から一緒に見ていたみたいです。「おひさま」や「カーネーション」など好きな作品がたくさんあります。

――2019年11月には朝ドラ「なつぞら」スピンオフドラマ「十勝男児、愛を叫ぶ!」に出演しました。

川床 まだお芝居を始めたばかりで、すごく緊張したのを覚えています。「なつぞら」も一視聴者として見ていたので不思議な感覚でした。本編には出ていないので、輪の中に入れるのか不安でしたが、事務所の先輩の音尾琢真さんや戸次重幸さんもいらっしゃいましたし、みなさんに良くしていただきました。

――朝ドラ特有の空気感はあるんですか?

川床 皆さん1年近くかけて一緒に作品を作ってきた仲間なので、信頼関係があって、温かい雰囲気だなと感じました。

――今回、「虎に翼」のオファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。

川床 撮影に入る少し前にお話しをいただいたんですが、4月から毎日放送を楽しんでいて、お仕事などがあるときは録画して見ていたんです。ものすごく面白くて、明日も頑張ろうと思える作品でハマっていたんですよね。そしたら何の前触れもなくマネージャーさんから電話がかかってきて、「佐田優未役に決まりました」とおっしゃったのでビックリしました。

――そんな直前にくるものなんですね。

川床 毎日見ていたので、伊藤沙莉さん演じるトラちゃん(猪爪寅子→佐田寅子)の目線で見ていたのが、出演が決まってからは、優未の視点で見ることを心がけました。

――初めて脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。

川床 面白かったですね。オファーをいただいたときは、まだ私が出演する回の台本は完成していなくて、どういう風に登場するのかも分からなかったんです。予想がつかなかったので、後から出演回の脚本を読んだときは、こういう展開なんだという驚きがありました。

――事前準備や役作りで意識したことはありますか。

川床 すでに優未のバックグラウンドは出来上がっていたので、もう1回、優未の視点で過去回を見直しました。私が出演する回は、優未が自分の道をどんどん進んでいくのが大きなポイントで。トラちゃん以外にも、いろんな大人に育ててもらった優未の心情を考えるようにしました。

――より年を重ねた優未も演じるんですよね。

川床 こんなに自分の実年齢から年の離れた役を演じるのは初めてだったので、新鮮で楽しかったです。その年齢の方の話し方がどういうものなのかを自分なりに調べて演じました。

――伊藤沙莉さんの印象はいかがでしたか。

川床 明るくて温かい方で、一緒にいるだけで元気をもらえるので、すごく助けられましたし、私のことを「優未ちゃん」と呼んでくださったので、自然と優未になれました。休憩中などに、いろいろお話をさせていただいたんですが、年齢を重ねたトラちゃんを演じるときに、どういうことを意識していますかとお聞きしたら、「単にすーっと立つだけじゃなくて、何かに捕まるなど、ちょっとしたことを意識するようにしてる。話すときも声色を変えるというよりは、声帯の筋肉が弱っている感じで話す」というようなことを仰っていたのが印象に残っています。

――現場はどんな雰囲気でしたか。

川床 家族でのシーンが多かったので、撮影の待ち時間にお話しすることも多かったですし、スタッフさんもみなさん優しくて、終始現場は和やかでした。監督との「優未はこういう感じだよね」みたいな会話も含めて、みなさんに優未を作っていただいたなと思います。

――川床さんが出演した第24週目で印象に残っているシーンを教えてください。

川床 お正月に、たくさんの家族が集まるシーンがあるんですが、初めて共演する方々ばかりなのに、実際に育ててもらった親戚に囲まれているような、温かい気持ちになりました。