リード曲「上出来」は新境地とも言える1曲
――1st EP『capriccioso』のリリースから約1年を経て、2nd EP『bitter candy』がリリースされましたが、生田さんにとってどんな作品になりましたか？
生田絵梨花（以下、生田） 1st EPをリリースしてツアーで全国をまわらせていただいたことで、よりライブで楽しんでもらえるような盛り上がる楽曲ができたらいいなという思いが強くなっていたので、ライブを彩る楽曲がたくさん詰まった作品になったなという印象です。
――楽曲制作において、ライブで表現することも意識されたのですね？
生田 そうですね。もちろん音源で聴いても楽しんでもらえる作品になっていると思いますし、ライブに来ていただいた皆さんに楽しんでもらえるような私にとっての新境地とも言える楽曲がたくさん詰まっています。歌い方や声色的にも、曲のアレンジ感や世界観も今までの作品とは違う新しさがあって、作っていてもワクワクしましたし、完成したEPを曲順に聴いてみてもとても胸が高鳴る感じがして、早く皆さんに聴いていただきたいです。
――1st EPからの成長や変化をご自身で感じる部分はありますか？
生田 レコーディング中にディレクターの方から『新しい扉を開けたね』と言っていただけたり、今作を聞いたレーベルの方から『表現の幅が増したね』と感想をいただけて、嬉しかったです。聴ける音や感じられるグルーヴなども広がってきて、より楽しく歌えました。
――ありがとうございます。ここからはEPについて深掘りしていきたいのですが、まずは、『bitter candy』というタイトルはどのタイミングで決まったのですか？
生田 収録曲の8曲がある程度固まった段階で、この8曲を括るキーワードとなるような言葉をずっと考えていて、この『bitter candy』という言葉が思い浮かびました。収録されている楽曲は全体的にポップで、嬉しかったり華やかだったりする楽曲が集まっている印象なんですけど、歌詞を見てみると何か苦い経験や感情の苦味みたいなものがすごく感じ取れるなと思ったので、苦味と甘みという言葉が一体になった『bitter candy』というタイトルがすごくマッチするなと思って名付けました。
――ジャケットもまさに『bitter candy』をイメージしているというか、生田さんご自身が体現している感じですよね？
生田 そうですね（笑）。打ち合わせをする中ではキャンディをたくさん持つみたいな案も出たんですけど、自分が『bitter candy』を体現するというのはこういう機会じゃないとなかなか経験できないと思ったので、自分自身がキャンディになるという方向で世界観を作っていただきました。どのタイプもインパクトがあるジャケットになったと思います。
――それでは、ここからは1曲ずつ聞いていきます。まずは、EPの1曲目を飾る「上出来」について。サビの“上出来 上出来”というフレーズがキャッチ―でとても印象的ですが、この曲はどのようなイメージで作られたのですか？
生田 ライブでファンの皆さんが一緒に歌ってくれる楽曲になったらいいなと思って作っていたんですけど、サビにどういう言葉を持ってきたらいいかなと考えている時に“上出来 上出来”という言葉が浮かんできて、そこからメロディーも含めて紡いでいったという感じです。
――その時にすでにJazzyな雰囲気のアレンジをイメージされていたのですか？
生田 最初にサビの“上出来上出来”というフレーズを口ずさんでいた時は、もっとからっとした明るい曲のイメージだったんですけど、歌いながら伴奏をつけて作曲していく中で、コード感がJazzyな感じになっていったので、それは自分の中でも意外でした。でも、そのギャップが新鮮で面白そうだなとも思ったので、アレンジの幕須介人さんに世界観をさらに広げていただいて、自分にとっての新しいジャンルの1曲になりました。
――この曲で特にこだわった部分はどんなところでしょうか？
生田 失敗やうまくいかないことに直面してしまった時に、”上出来”という声がけで前に進んでいけたらいいなという思いがありストーリーも意識して書いたので、そんな歌詞の流れにも注目して聴いてほしいです。
