フォトブック『淡淡』は今まで見せずにいた部分が露わになった一冊
――今回はエッセイを含むフォトブックということで、撮影や製作に臨む際、グループ時代の写真集とはまた違いましたか?
秋元真夏(以下、秋元) そうですね。乃木坂46時代は写真集を出すとなると、とても気を張って、撮影までに体を仕上げて万全の状態で臨む…といった感じでした。写真集は本当にいい瞬間だけを切り取って集めた作品という印象だったんですけど、今回は卒業してからの新たな一面も見せたいなと思って、気を張っていない姿とか旅を楽しんでいる素の表情とかをたくさん集めています。あとは、取り繕わずにただただ思っていることをエッセイとして書いたので、今まで見せていた部分と見せずにいた部分があるとしたら、特に見せずにいた部分が露わになっている一冊になったと思います。
――グループを離れたことでの心の余裕や年齢的にも大人になったご自身の心境なども反映されているのでしょうか?
秋元 もともと、私は性格的に自分のことを客観視する方ではあったんですけど、アイドルを卒業してから、さらに客観的に自分のことを見たり考えたりすることが増えました。もっとこうありたいと思う気持ちも強くなってきたので、そういう部分も(このフォトブックには)たくさん出ていると思います。
――ちなみに、タイトル『淡淡(あわあわ)』は秋元さん発案とのことですが、どのタイミングで思いついたのですか?
秋元 タイトルはエッセイを全部書き終えてから考えました。特に「タイトルを決めてください」と言われていたわけではなかったんですけど、もし自分でタイトルを付けるとしたら…とぼんやり考えている時に浮かんだのがこの『淡淡』というタイトルだったんです。全部書き終わった後にエッセイを読み返してみたら、自分がやってきたことや支えてもらった人達のことなど、自分が出来上がるまでの道筋みたいなものが書けたかなと思えたので、じゃあ、今後どういう風になっていきたいかと考えた時に、薄い絵の具を垂らしていくみたいに自分の色や個性が少しずつ見えていって、最終的に振り返った時に「この色めちゃめちゃ好きだな」と思えるような色になっていたらいいなと、そんな思いを込めてこのタイトルを付けました。
――言葉の響きも可愛いですよね。
秋元 淡さを重ねて濃くなりたい…、そんなことがぼんやりと浮かんだので、そんな言葉あるのかな?と思って調べた時に、「淡淡(たんたん)」という言葉と迷ったんですけど、語感的に「淡淡(あわあわ)」の方が好きだなと思って、重ねていく雰囲気がより伝わるように『淡淡(あわあわ)』にしました。
――ありがとうございます。中身を見せていただいて、秋元さんと一緒に旅した思い出を紡いだような一冊だなという印象を受けました。「夏:石垣島・西表島」、「秋:郡上」、「冬:秋田」と季節と旅先が分かれていますが、まずは、沖縄の石垣島と西表島で特に印象に残っているシーンを挙げるとしたらどこでしょうか?
秋元 (とても悩んでいる様子で)うーん、どこだろう…。
――カヌーで葉っぱを咥えているカットがありますが、この秋元さんの表情は初めて見たような気がします。
秋元 あぁ、私もこの写真が入るんだ!と思ってびっくりしました(笑)。これまでの写真集だったらなかなか選ばないような写真だと思うんですけど、きっとプライベートの私が旅行に行ったら、こういう顔をいっぱいするんだろうなという感じもして、私もお気に入りの一枚です。その他にお気に入りのシーンを挙げるとしたら、やっぱり水着のカットですね。沖縄自体が大好きなので、開放的な海での撮影は“ザ・写真集”といった感じでしたけれど、とても砕けた雰囲気で、素の表情が見えているのでお気に入りです。
――確かに、写真集だとクールな表情やアンニュイな表情も盛り込まれていたりしますが、今回はとにかく笑顔が印象的でした。続いて、秋の岐阜県郡上は初めてとのことでしたが、郡上を選ばれた理由やきっかけを教えてください。
秋元 古い町並みが素敵だなと思って、いつか行ってみたいと思っていたのと、昔からお祭りが大好きだったので「郡上おどり」というお祭りに参加してみたいなと思って選びました。普段、お祭りに行く時は屋台がお目当てといった感じなんですけど、今回は踊りを習って、実際に来ている観光客の方や地元の方と一緒に踊ったので、とても素敵な経験になりました。
――浴衣でのお祭りのシーンは特に印象的ですが、他にもお気に入りのシーンがあれば教えてください。
秋元 赤いワンピースを着ている駅のシーンはすごく好きですね。昔ながらの駅で撮影したんですけど、そこに赤い電車が来るのがとてもレアだと聞いていたので、赤い電車が来た時には嬉しかったです。駅のホームで撮影をしたり、映画の物語が始まりそうな列車に乗って撮影したりもしたので、このシーンにはとても思い入れがあります。