城定秀夫監督の期待に応えたいという思いがあった
――『映画 暗殺教室〜卒業編〜』(16)以来の映画出演になりますが、出演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。
成宮寛貴(以下、成宮) 僕の復帰作となった「死ぬほど愛して」(25/ABEMA SPECIAL)の監督である城定(秀夫)さんと、2作連続でお仕事させてもらえるということがうれしくて。しかも今回は監督から直々にオファーをいただいたので、その期待に応えたいという思いがありました。また、今年は三島由紀夫の舞台「サド侯爵夫人」にも出演して、一つひとつ俳優として試される局面を乗り越えてきて、ついに映画も来たという思いがありました。ドキドキしながら現場に入りました。

――『藁にもすがる獣たち』は城定監督が共同脚本として手掛けられています。
成宮 どのキャラクターも儚い魅力があって、自分では現状から抜け出せないというのが全員の共通点なんですよね。そこに1億円という、人生を変えられそうなお金が目の前にあることで、人間の汚らしい争いが生まれる。どのキャラクターもポップに描かれてはいるんですが、リアリティがあって、実際にあり得る話で面白い脚本でした。
――個性的な登場人物が並ぶ中で、ご自身が演じられた江波戸良介という人物を、どのように捉えましたか。
成宮 警官ではあるんですが、計画性のある切れ者という感じではなくて、逃げ足の速さみたいな、動物的に危険を感じて行動するタイプの人間なのかなと思いました。あとは、何かを先送りにして過ごしてきた人生で、欲や快楽に忠実で、いわゆる女性や博打に弱い典型的なタイプ。そういう意味でいうと、身だしなみの部分では、無精髭を生やして、タバコも吸って、柄の悪い人たちとつるんでいる雰囲気を出しました。おそらく警察って、光と影で言うと影の部分を背負っている仕事だと思うんです。良介は、そういうところに属している側の人間という感覚です。
――そういう、やさぐれた雰囲気を意識して演じられていたんですね。
成宮 やさぐれ感は、かなり意識していました。それぞれのキャラが立っているので、ある種の分かりやすさもありながら演じていましたが、僕の場合は走っているシーンなど、瞬間的にジャッジするお芝居が多かったので、台本に書かれていないこともアドリブでやりました。
――たとえばどんなアドリブがあったのでしょうか。
成宮 ヤクザ組員の怪力男・エリンギ(青木マッチョ)と戦うシーンは、体格差的に絶対に勝てないのに、最初の殺陣はかっこよすぎたんです。だから、小ずるく噛みついたり、唾を吐いたりして目くらましをするというのを、僕のほうから提案してやらせていただきました。(警視庁から派遣された食わせ者の刑事で、ある事件を巡り良介とバディを組むことになる)肥後勝次を演じる小手伸也さんとのお芝居でも、やり取りを1ターン増やすなど、遊ばせてもらいました。

――楽しんで演じられていたんですね。
成宮 あと、この映画はスピーディーにスタイリッシュに作りたいということだったので、この役の結末はどこにあるんだろうなと考えていました。スーッといなくなる役だったのですが、監督との最初の打ち合わせで「最後にやりたいことがあるんです」とお話させてもらって、映画を象徴するシーンにつながりました。
