同世代の俳優よりも芝居の楽しさを知るのが遅かった
――栁さんが俳優になったきっかけは、モデルの仕事で浅野忠信さんの手がけるブランドの服を着たときに、初めてご本人とお会いして、「役者の道に進みたい」と相談したら、今の事務所を紹介してくださったとお聞きしました。いつぐらいから演技をやりたいと思ったんですか。
栁 もともとは映画の世界に入れたらいいなぐらいの気持ちで、特に芝居をしたい訳ではなかったんです。だから僕はいまだに舞台をやったことがないですし、芝居の楽しさを知ったのも最近です。それまでは芝居を楽しみたいっていうよりは、映像の中に入ることが楽しみでやってきたところがあるんです。だから同世代の奴らより、芝居の楽しさを知るのが遅かったんです。浅野さんに相談したときも、割とフワッとしていて、映画館のスクリーンにかっこよく自分が映っていたらいいなと思っていました。
――どう自分がスクリーンに収まっているかが重要だったと。
栁 そうですね。その中で何をどう演じるかというのは、もちろん考えていましたけど、良くも悪くも今より自由度が高かった気がします。頭でっかちにならずに演じられていましたね。とはいえ今も、何かに縛られずに、他とは違う芝居をしたいなと思っていますし、フレッシュ感みたいなものはずっと持っていたいです。浅野さんを見ていても、今でもフレッシュ感を保っているから、ヒントにさせてもらっていますし、身近で見ることで、いろんなことを吸収させていただいています。
――『ゾン100』の撮影に臨むにあたっては、どんなことを意識しましたか。
栁 その現場によって監督の指示は変わると思うんですけど、石田監督は、ずっと編集をやっていた方なので、おそらく撮影中も自分の頭の中で常に編集されていると思って、今回はそれに従おう、100%信頼しようと、全てお任せしました。芝居は生ものだから、それによって自然と演技も変わってくるんですよね。
――改めて『ゾン100』の見どころをお聞かせください。
栁 一般市民は銃を持たない日本において、どうやってゾンビと戦うのかという設定を持ってきたのは、世界的にも新しいことだと思います。ただゾンビと戦うだけではなく、現代社会で鬱憤したものを抱えていたアキラやケンチョ、シズカたちが、こんな世界でもどう楽しく幸せになれるのかを見つける話でもあります。現実もコロナ禍があって、外に出られない、人とも交流ができない、内に内にという社会になっていたじゃないですか。そんな閉塞的な世の中に、『ゾン100』は映画ならではの開放感を届けられる作品だと思います。
Information
Netflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』
Netflixにて世界独占配信中
出演:赤楚衛二、白石麻衣、栁俊太郎、市川由衣、川﨑麻世、早見あかり、筧美和子、中田クルミ、ドロンズ石本、中村無何有、谷口翔太、佐戸井けん太、北村一輝
原作:麻生羽呂・高田康太郎「ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~」(小学館「サンデーGXコミックス」刊)
監督:石田雄介
脚本:三嶋龍朗
音楽:出羽良彰 音楽プロデューサー:千田耕平
撮影監督:河津太郎 美術:江口亮太 アクション監督:下村勇二 録音:田辺正晴
サウンドデザイン:石坂紘行 編集:臼杵恵理 撮影:田中悟 GAFFER:櫻井えみ
装飾統括:髙出裕介 装飾:高橋光 岩井健志 スクリプター:小林加苗
VFXスーパーバイザー:Jeffrey Dillinger VFXプロデューサー:髙玉亮 赤羽智史
スタイリスト:纐纈春樹 ヘアメイクディレクション:須田理恵 特殊メイクディレクター:梅沢壮一
テクニカルディレクター:石田記理 助監督:吉川祐太 制作担当:大熊敏之
製作:NETFLIX
エグゼクティブ・プロデューサー:高橋信一(Netflix)
プロデューサー:森井輝
ラインプロデューサー:中島勇樹
制作協力:Plus One Entertainment
企画・制作プロダクション:ROBOT
©️麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT
都内の大学を卒業し、制作会社に新卒入社した天道輝(テンドウアキラ:赤楚衛二)。大学時代にアメリカンフットボール部で培ったガッツを武器に「夢の社会人生活が始まる!」と意気込んでいたが、歓迎会の直後に帰社して連日徹夜という“洗礼”を受け、自分がブラック企業に入社してしまったと知る……。有能だが部下をこき使うパワハラ上司・小杉(北村一輝)の下で地獄の日々が幕を開け、部屋は荒れ放題で自分の時間などまるでない。みるみる“社畜”と化していく中、ある朝重い気分でアパートのドアを開けると、世界は一変していた。感染するとゾンビのように意志を持たない捕食者へと化す未知のウイルスが蔓延していたのだ――。絶望的な状況だが、アキラは「これで会社に行かなくていい!好きなことを何でもできる!!」と有頂天に。これまでの人生で叶えられなかった「ゾンビになるまでにしたいこと」リストを作成し、道中で出会った三日月閑(ミカヅキシズカ:白石麻衣)や、疎遠になっていた親友・竜崎憲一朗(ケンチョ:栁俊太郎)を巻き込み、リストを実現する冒険に繰り出していく。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:AKIHITO HAYAMI(CHUUNi),STYLIST:SYOGO ITO (sitor)