曲ごとにヴォーカルを変えていくのはs**t kingzだからできること | NOPPO（s**t kingz） 「s**t kingzにしか出せない温かみや面白みを伝えたい」 INTERVIEW

曲ごとにヴォーカルを変えていくのはs**t kingzだからできること

――7月26日から『踊救急箱』の全曲先行配信がスタート（※9月8日(金) にパッケージリリース）しました。本作は音先行・歌先行ではなく「踊り振り付け先行」でプロデュースする完全オリジナル楽曲の見るダンス映像アルバムです。2021年1月27日にリリースした『FLYING FIRST PENGUIN』に続く２作目の映像作品集で、前作同様に多彩なゲストを迎えていますが、この試みを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

NOPPO　コロナ禍が深刻になったとき、僕らはダンサーなのでオリジナルの音源を持っていなくて、YouTubeにダンス動画を上げてもバンされてしまったんです。このままだと将来的に100%僕たちの作品と言えるものが残せなくなってしまう。それは嫌だなと思って、曲を作りたいと。それには歌ってもらう人が必要で、大好きなアーティストを集めて、協力していただいて作品を作ろうというのがきっかけです。だから最初のアルバムは「s**t kingzとはなんぞや」とか、「これから頑張っていくぞ」という所信表明のような内容の歌詞が多くて、いわば名刺代わりのような作品でした。

――ダンサー主導で、ここまでバラエティーに富んだアルバムは海外でも珍しいのではないでしょうか。

NOPPO　そうですね。今の若いダンサーは技術があるので、自分で曲を作ったり、歌も歌ったりという子も多いですし、フィーチャリングという形でコラボするのも珍しくありません。でも、曲ごとにヴォーカルを変えていくのはs**t kingzだからできることだと思いますし、バラエティーに富んだ内容はライブでの強みにもなっています。いまだに僕ら自身が、「こんなにすごい人たちに協力してもらえて、俺らすごいよね！」って驚いていますから（笑）。

――今回のアルバムから先行配信されている「衝動DO」では在日ファンクがフィーチャリングされていますが、バンドだとグルーブも変わりますよね。

NOPPO　仰る通りです。音楽担当をしてくれているプロデューサーの方々が、「こことs**t kingzがコラボレーションしたら面白いよね」というのを考えてくれるんです。いろんなアーティストのファンや音楽好きを巻き込んで、僕らのダンスを見てほしいという気持ちもあります。そこで「s**t kingzのライブに来てください」で終わるのではなく、「お邪魔します。s**t kingzですけど、知り合いのバンドさんに曲を作ってもらっているんです」と僕らから扉を叩くことで、新たな繋がりもできますし、新たなチャンスに巡り合える可能性も広がります。改めて音楽活動をやってよかったなと思いますね。

――9月8日から始まるs**t kingz Dance Live Tour 2023「踊ピポ」は、どんなライブになるのでしょうか。

NOPPO　僕らにとってライブ形式で会いに行くツアーは初めてなので、みんなで作り上げるライブにしようと思っています。人前でダンスすることに抵抗があっても、s**t kingzに体を委ねてくれれば踊らせるので（笑）、心配せずに足を運んでください。

――10月25日には日本武道館でs**t kingz Dance Live 2023 in 日本武道館「THE s**t」を開催しますが、チケットは即完しました。

NOPPO　「踊ピポ」とは全く違う内容で、武道館ならではの、この日しかできない演出もありますし、ライブならではのアレンジが効いたバンド音源で、音楽好きにもたまらない内容になっています。s**t kingzはいろんなダンスの見せ方を探求してきて、楽しい、面白い、うれしい、悲しいといった感情を大切にしてやってきました。でも最近、わちゃわちゃ4人でしゃべるだけのオフ会みたいなのを開催したときに、s**t kingzにしか出せない温かさがあるなと感じたんです。ショーになればバチッと見せることは全然できるんですけど、そういう温かみ、面白みも、みんなに伝わればいいなと思いましたし、それって自分たちでも気付かない良さなのかなと。そんな部分も「踊ピポ」や「THE s**t」を通して伝わればうれしいですね。

PHOTOGRAPHER：YASUKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER：TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE：Noritake,STYLIST：Akiyoshi Morita（MiNTSS）