狩集汐路は今までやってきた役の中で一番難しかった
――『ミステリと言う勿れ』のオーディションにはどういう気持ちで臨みましたか。
原 もともと一ファンとしてドラマを毎週楽しく観させていただいていたので、本当に好きな作品で。キャストの皆さんのお芝居も、とても素晴らしいなと思っていて、いつか私も『ミステリと言う勿れ』に出られるようなお芝居のできる役者さんになりたいと思っていました。だから、これに落ちてしまったら半年は寝込むだろうと(笑)。自分の精神衛生にも良くないから、絶対に受からないといけないと覚悟を決めて、強い気持ちでオーディションに臨みました
――合格したときのうれしさは相当だったでしょうね。
原 もちろんうれしいし楽しみという気持ちもあったんですけど、私が演じた狩集汐路(かりあつまりしおじ)が難しいキャラクターだから、果たして自分なんかにできるのかと不安になりました。
――どういうところに難しさを感じたのでしょうか。
原 汐路は自分が何をしたいのか分からず行動してしまうところがあって、自分の本当の気持ちに気づいてないのか、気づいてないふりをしているのか、曖昧な部分もあったりして。子供らしく笑うところもあれば、大人に対して頭が切れるところもあって。「こういう子だよね」という枠にあてはめることのできないキャラクターで、個人的に今までやってきた役の中で一番難しいなと感じました。特に「幼さ」という部分をどういうふうに見せていいのか分からなかったんです。
――監督とはどんな話し合いがあったんですか。
原 監督が衣装合わせの段階で、「少女性を大切にしたい」と仰っていて。でも汐路が抱えている闇はすごく深いものだし、時々見せる表情もすごく暗かったりします。一方で子どもらしい言動もあったり、突拍子もない行動に出てしまうこともあったり、掴みどころがあるようでないんですよね。
――どのように分からない部分を解消していったのでしょうか。
原 撮影の序盤で監督に「ちゃんと汐路に見えているのかが分からなくて、とてつもなく不安です。何か気になることや、もっとこうしたほうが汐路に見えるみたいなことがあったら、些細なことでもいいので教えていただけたらうれしいです」とお伝えして。それからは、「もうちょっと語尾を強くしたら相手を振り回している感じが出る」「汐路の強引さはこういう言い方のほうが際立つと思う」みたいなことを、監督が要所要所で細かく修正してくださったので、すごく分かりやすかったです。キャストの皆さんにもアドバイスいただきながら、汐路を作っていったという感じですね。
――ビジュアル面で言うと髪をバッサリ切りましたよね。
原 物心ついたときから髪が長かったんですけど、30センチくらい切りました。事前に監督からは「ミディアムロングくらいの長さでいいんじゃないか」とお聞きしていたんですが、自分から「切りたいです!」とお伝えしました。一度切ってみた後、監督と相談して、さらに短く切ってボブにしたんです。髪の毛を切ってから、「幼く見えるようになったね」と言われることが増えたので、汐路に入りやすくなったように感じました。
――どうしてショートヘアにこだわったんですか。
原 私自身、アニメやマンガが好きなので、原作がある作品のときは、ファンの方が納得するものにしたいと思うんです。だからビジュアルは絶対に寄せていきたいですし、歩き方とか、どんな声を出すかとかも自分のできる範囲で寄せられたらいいなと考えて演じています。
――初めて脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。
原 私の好きな『ミステリと言う勿れ』だなと思いました。久能整(くのうととのう)くんは、あくまで第三者目線からの意見というか、押しつけがましくなくて、すっと胸に入ってくる感覚があります。そんな久能節が映画でも観られるのは一ファンとしてもうれしかったし、そこに自分も立ち会えると思うとワクワクしました。