念頭にあるのはメンバーのテンションを上げること

ーー過去のスタイルで最も印象的だった衣装は何でしょう?

古川 『INFINITY』ツアーの衣装で、黒のレースシャツに初挑戦したんです。レースのシャツ自体着るのが初めてで、普通にレースのシャツを着て細いパンツを穿いてというのでも良かったんです。肌もちょっと透けてセクシーに見えると思うし、それだけでファンの方も喜んでくれるかなと。ただ、ある意味それだと普通だし、何かもう一つ要素を足さないと、SUPER★DRAGONっぽくはないなと思ったんです。だから、ちょっとシャツをロックっぽくというか、レースシャツをウエスタンシャツのように仕立ててもらって、レザーのパンツを穿いて、ボタンを開けたり閉めたりと着こなしもメンバーごとにバラバラにしてもらいました。そうしたら受けも良かったし、思った以上に良いバランスが取れたんです。

ーーそのレースシャツのように、初めてチャレンジする時ってドキドキしますよね。

古川 最初提案をいただいた時は「レース!?」と思ったんですよ、正直(笑)。どうやってグループの空気感と整合性をつけようかなって。この衣装だけが浮いたり、辻褄が合わなくなったらイヤだなというのもあって。でも、その時一緒にライブ衣装の制作をしてくれたスタイリストの方が、実は某ロックスターの衣装も制作していて、そこでレースシャツを作ったことがあるとのことで、あえて提案してくれました。だったらロックっぽい感じで作っていけば良いなと思ったんです。

ーーメンバーごとにスタイリングの特徴は分けていますか?

古川 個性に合わせるのはもちろんあって、彼はこういうのが似合う、彼はこういうのが好きとか、メンバーのテンションを上げたいというのは念頭にあります。チャレンジしてほしい部分で自分のエゴを少し入れつつ、できるだけその人が引き立つように提案するというのを考えています。本人の気分が乗らないと絶対格好良く見えないんですよ。

『INFINITY』ツアーの衣装

ーー誰かに服を着せるというのは難しいですよね。

古川 難しいですね。楽曲によってテーマも違いますし、個人個人で体型もキャラも違う。普段は好きなものを好きなように着るのが良いですが、衣装となると一番その人のベストが出ているべきだと思っています。活かされていない瞬間も見てきたので、それはもったいないし、悔しいじゃないですか。だから僕らは、フィッティングも長いんですよ。

古川毅

2015年に結成した志村玲於、古川毅、ジャン海渡、飯島颯、伊藤壮吾、田中洸希、池田彪馬、松村和哉、柴崎楽の9人からなるミクスチャーユニット「SUPER★DRAGON」のメンバー。ラップやダンス、メンバーによるヒューマンビートボックスまで融合させた、Newミクスチャースタイルな楽曲に、目まぐるしく変わる9人のフォーメーションダンス、そしてキャッチーで一緒に踊りたくなる振り付けが魅力。個人としても2018年資生堂・シーブリーズのCMキャラクターに抜擢され、ドラマ「兄友」で俳優デビュー。主な出演作は、ドラマ「3年A組-今から皆さんは人質です」「結婚できないにはワケがある。」「箱庭のレミング」「僕らが殺した、最愛のキミ」、映画『犬鳴村』など。