「人生は一度しかない。失敗しても、命はある」として起業へ

――2022年11月に芸能プロダクション、TOP MAUNAを設立。起業し、経営者となりました。

山 父が経営者ですし、幼い頃から「将来は起業しなさい」と刷り込まれていたんです。椎木里佳さんの『女子高生社長、経営を学ぶ』(ダイヤモンド社)を手渡されて、読んでいたのも覚えています。実際に起業したきっかけは、友人の一言でした。高校3年生からお世話になっていた芸能事務所を退所して、フリーだった時期にすでに起業していた友人から「優香ちゃん、経営しないの?」と言われたんです。その場で「やりたい!」と返して、当時は2022年夏で、芸能界を辞めるかどうかと迷っていたのもあり、設立までの数ヶ月間で猛スピードで設立の準備をすすめました。

――資本金500万円は、完全に自己資金だったそうですね。

山 貯金と、20歳ではじめた株式投資による蓄えから出しました。幼い頃から毎月、決まった金額を貯金する習慣があったんです。アルバイトでの貯金もあって、多少の勇気は必要でしたけど、起業すると決めたからにはやるしかなかったし、「人生は一度しかない。失敗しても、命はある」と考えて、みずから出資しました。

――起業後、自身の変化は?

山 経営者は「孤独」と言われる理由が、理解できました。プロデュースするアイドルグループのメンバー、協力してくれるスタッフの意見をすべて受け止めていますし、責任や負担の重さを実感しています。人に頼ることが少なかったんですけど、起業後は、すでに会社経営をしている友人に相談したこともあります。

――例えば、何を相談したんでしょう?

山 様々ですけど、人材に対する考え方を聞いたこともあります。これまでを振り返っても、実力あるスタッフを採用しても、会社の理念を守ってくれないケースもあり、その悩みを相談しました。友人は「辞めてもらう」が正解と言ってくれて。ルールを守ってもらえないのであれば心苦しくもあきらめて、実力があってルールも理解してもらえるなら「育てるべき」と学びました。