どのシーンをとっても天音が素晴らしかった
――お二人は過去にも共演経験がありますし、公私ともに仲が良いそうですが、今回の映画での距離感はいかがでしたか。
岡山 そんなに他の現場と明確な違いはなかったです。普通に空き時間は、いろいろお話ししていましたし。恋バナもしましたよね?
仲野 確かにしたね(笑)。
岡山 屋上でね。
仲野 青春だ(笑)。僕としては、天音は大変なシーンの連続だし、主演としていろんなものを背負っていたので、あまり邪魔をしないでおきたい気持ちもあったんです。ところが蓋を開けてみれば、恋バナまでして(笑)。天音はどう思っているか分からないけど、僕は天音がいると、いつも甘えちゃうんですよね。
岡山 どういうこと?
仲野 天音に話しかけたら、何か面白いことが起きるというか、ボケるとツッコんでくれる。それがうれしくてボケちゃうんですよね。だから今回も天音は集中しているだろうに、ちょっかいをかけてしまいました。すいませんでした!
岡山 いやいや、いつもよりボケてなかったです(笑)。
仲野 そこは天音が集中する時間だから、むやみに話しかけちゃいけないって意識はしていたよ。でも、いつも通りでいてくれたので、僕としてはとても過ごしやすかったです。
――特に印象的なシーンを教えてください。
仲野 どのシーンをとっても天音が素晴らしいんですよね。ツチヤが感情を爆発させるシーンも涙するシーンも最高なんですけど、共演したシーンとしては、ツチヤと西寺が二人で車の中にいて、西寺が「ジュースを買って来い」と言って、ツチヤが買いに行く。その後ろ姿を西寺が見ていて、天音が背中でボケるみたいな描写があって。そのときの天音の芝居がすごく好きなんです。セリフもないし、表情も見えない。背中しか見えていないのに、ツチヤのこけ方が妙に愛おしい。それでいて、「こいつ、このままで大丈夫かな」って不安になるようなところもあって。ツチヤという人物を、セリフや表情をなくしても体現してしまう天音のすごさに感動しましたし、これはなかなかできることではないなと。
岡山 その日の気分によって好きなシーンが変わるので一つ選ぶのは難しいんですけど……パッと今の気分で挙げるなら、ベーコンズ(西寺のお笑いコンビ)の漫才シーンですね。ベーコンズの単独ライブで、たくさんのお客さんが笑っている中で、同じ客席でツチヤも見ている。劇中でもそのまま使われているんですけど、実際にフルで漫才をやっているんです。監督の演出で、実際に僕がベーコンズの漫才を見たのも本番だけで。二人の会話や、エネルギーのやり取りを目の当たりにして、ものすごく受け取るものがあって。憧れの西寺さんが漫才している、しかも自分が携わったネタという状況は、これまでお芝居した中でもあまり味わったことのない感覚になりました。ツチヤはひたすら傍観しているだけなんだけど、自分の中で強烈な何かが立ち上がっていく感じがあって。劇中では、あまり僕の顔は使われていないんですけど、ツチヤと西寺さんとの一瞬一瞬がものすごく大切な時間だったなと感じるシーンでした。