いいことも嫌なことも素直に伝わってくる、それだけリアルなお芝居なんです
――極限の状況で演技をしている中で、楽しい瞬間などはありましたか?
犬飼 自分の自白が済んでからはけっこう楽だったかもしれない。そういった流れの中での変化っていうのはすごく大きかったです。
――胃が痛くなるようなポイントもかなりあったかと思います。
犬飼 最初に追い込まれて、みんなから集中砲火を受けたときに、「昔小学校でこんな光景あったな」みたいな、周りの生徒に攻め立てられる学級裁判が思い出されて、変な汗がめちゃくちゃ出ました(笑)。
――撮影現場の雰囲気はどんな感じでしたか?
犬飼 けっこう殺伐としてました。キャスト同士の会話はほぼ禁止されていましたから。カメラが止まった後、「次のフェーズでこの証拠を見つけるので、今から高橋さんと二人で作戦会議するところを撮ります」みたいなことを突然聞かされて「そうなの⁉」と驚くこともあったり。考える暇を一切与えられないまま、ずっとパニック状態だったので、現場で和やかな瞬間が流れることはあんまりなかったかもしれないです。だから、本番中に急に自分に矢を向けてきた人に対しては「こいつ!」って思ったり(笑)。最後のカットがかかる瞬間まで、みんなのことを嫌いになりそうでした(笑)。
――完成した映像を観て、新しい発見などはありましたか?
犬飼 「自分は嘘をつくときにこんな癖があるんだ」みたいな部分を客観的に見られたので、今後は気をつけようと思いました(笑)。
――登場人物の緊張感がこちらにも伝わってくるようでした。
犬飼 いいことも嫌なことも素直に伝わってくる、それだけリアルなお芝居なんです。終盤は本当に三徹したくらいのテンション感がありましたから。
――この映画を観る方々にメッセージをお願いします。
犬飼 目まぐるしく展開されるアドリブの応酬とリズム良く進んでいくストーリーという、今までにない体験を皆さんもできる作品ですので、ぜひ劇場で僕たちの、ある意味で舞台よりも生のお芝居を楽しんでいただければと思います。