20代は自分のやりたいことを抑えて、目の前のことを必死にやってきた

――犬飼さんが学生時代に特に熱中されていたことは何ですか?

犬飼 バンドです。高校時代はチケットを手売りしてライブハウスにも上がったり、文化祭でライブしたり、そのことに費やしていました。「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを獲って事務所が決まったときは、「このままバンドでメジャーデビューして武道館に立てる」と思っていたくらい、本当に芸能界のこともまったくわからなくて。事務所に入れば何でもできると思っていたので、当時のバンドメンバーには「俺が土台を作っておくから」と言って、意気揚々と上京したんですよ。そしたら当時の担当マネージャーさんに、「君は俳優だよ」って言われて、「え、俺俳優なの?」と思って(笑)。

――バンドマンとして活躍することが当時の夢でもあったんですか?

犬飼 そのときは生きる目標がなくて、でも、バンドをやっているときは楽しかったから、夢ではなかったんですけど、ぼんやりとバンドでこのまま生きていくんだろうなという感じでした。将来の夢もなくて、だから「俳優だよ」と言われたときも、「いや、どうしても音楽で!」っていうふうにはならなかったんです。

――その俳優という職業していく中でどんなときに楽しいと感じますか?

犬飼 今でも楽しいというよりは苦しいとか、難しいなと思うことの方が多いんですけど、みんなで一致団結して一つのものを作り上げていくという部分。規模や責任感は違いますけど、文化祭の出し物をみんなで準備してるような感覚でいられるのは、刺激的で楽しいなと思います。

――犬飼さんは6月に30歳となりますが、2024年はどんな一年にしたいですか?

犬飼 20代は自分のやりたいことを抑えて、目の前のことを必死にやってきたので、30代からは自分の好きなこともやっていければいいなっていうふうに思っています。映像作品も精力的にやりつつ、自分の趣味である音楽を披露する場もできたらいいなと。

――今はドラマにバラエティとマルチにご活躍されていますが、オフの日などはどう過ごされていますか?

犬飼 最近は家で好きなことをしながらまったり一人でお酒を飲むことが好きになってきています。外へ飲みに行くこともあるんですけど、自分の好きなお酒を揃えて家で飲む回数も増えました。あとはレコード集めとか。

――アナログなものや古いものもお好きなんですね

犬飼 音楽の話になっちゃうんですけど、今はサブスクでCDとか形がなくても、携帯で曲が聞けてしまう。それもいいけど、昔はレコードやCDがあって、大事に聞かれてきた……そういうルーツみたいなものが好きなんです。失われつつあるものに惹かれるというか。最近は電子ケトルも捨てちゃって、ヤカンでお湯も沸かすようになりました。

――その手間を楽しむ余裕もできたということでしょうか。

犬飼 心の余裕を持ちたいがゆえにそうしているのかはわからないですけど、人間が本来大切にしてきたものは大事に持っておきたいなと思うタイプかもしれないです。あとは簡略化された世の中に何か思うことがあったのかも分からないですけど。極めすぎて30年後は山の中に住んでそうで怖いですけどね(笑)。

Information

作品名:『劇場版 マーダー★ミステリー 斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』
公開日:全国公開中
出演者:劇団ひとり、剛力彩芽、木村了、犬飼貴史、文音、北原里英、松村沙友理、堀田眞三、八嶋智人、高橋克典
監督:光岡麦
企画:安井一成
エグゼクティブプロデューサー:後藤利一、松井伸
チーフプロデューサー:梅村安、嶋田豪
プロデューサー:西前俊典、市川貴裕、龍川拓美
シナリオ構成:渡邊仁
企画アドバイザー:眞形隆之
製作:劇場版「マーダー★ミステリー 斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ
(ABC フロンティア ABC アニメーション アイネックス)
2024年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch5.1ch/1 0 3 分
©2024 劇場版「マーダー★ミステリー 斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ

公式サイト
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犬飼貴丈

1994年6月13日生まれ、徳島県出身。2012年、第25回『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』グランプリを受賞してデビュー。2017年、『仮面ライダービルド』(テレビ朝日)でテレビドラマ初主演を果たす。その後、多くのドラマ、映画で活躍。近年の代表作として、ドラマ『なれの果ての僕ら』(テレビ東京)『最高の教師〜1年後、私は生徒に■された〜』(日本テレビ、映画『ぐらんぶる』など。現在『ぽかぽか』(フジテレビ)に金曜日レギュラー出演中。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TETSU TAKAHASHI